2000年1月、9年2カ月もの間、自宅に少女を閉じ込めていた男が逮捕された。世間を震撼させた「新潟少女監禁事件」である。

 逮捕された37歳の男は、地元企業をわずか3カ月で退職し、自宅に引きこもり続けていた。高齢の父と溺愛する母のもと、欲しいものをすべて買い与えられて育った男は、いかにして「怪物」へと変貌したのか。ノンフィクション作家の八木澤高明氏の文庫新刊『殺め家』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目) 

写真はイメージ ©getty

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9年、監禁され続けた少女

 2000年1月のある日。写真週刊誌のカメラマンになったばかりだった私は、新人がやることになっている写真の紙焼きのため暗室にいた。

 暗室の外には、テレビが置かれていて、たまたま流れてきたニュース速報に目が釘付けになった。

 ネットニュースが浸透していなかった当時、テレビのニュース速報が、一大事を伝える重要な手段であった。

 その速報は、新潟で9年2カ月にわたって監禁されていた少女が発見され、監禁していた男を逮捕したというものだった。

 そのニュースに衝撃を受けた私は、どうしても現場に行きたいと思い、事件を担当しているデスクに速報が終わる間も無く電話した。

「そんな事件が起きたのか、そんなに行きたいなら、行ってもいいよ」

 デスクは、速報が流れたばかりであり、事件のことを知らなかった。

 犯人の男が少女を監禁していたのは、JR柏崎駅から、歩いて30分ほどの場所にある住宅街の民家だった。