元防衛相の稲田朋美氏(67)が、月刊「文藝春秋」10月号(9月10日発売)で、党内の消費減税の議論の際に反対した理由を詳細に明かした。

稲田朋美元防衛相 ©文藝春秋

SNSでは「裏切り者」と批判され……

 消費減税の議論の発端となったのは、自民党が今年2月の衆院選の公約に「飲食料品の消費税ゼロ」を掲げたこと。7月30日には高市早苗首相が「2年間、飲食料品の消費税を1%に引き下げる」方針を示したことを受け、党内で消費減税に向けた本格的な議論がスタートした。その翌日、党所属議員の意見集約の場として設けられた税制調査会・社会保障制度調査会合同会議で、稲田氏は「果たして議論は尽くされているのでしょうか」と発言。会議後にも報道陣に対して「『総理が言っているから(減税する)』というのは自民党らしくない」と述べるなど、消費減税に反対の姿勢を示していた。

 こうした発言がクローズアップされたことで、衆院選期間中にSNSで“消費減税を約束する”という趣旨の投稿をしていたことが掘り起こされ、「裏切り者」と批判を浴びることにもなった稲田氏。今回の消費減税に反対の声をあげた本当の理由を語った。

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「私は、消費減税そのものに反対しているわけではありません。物価高に苦しむ国民のみなさまの負担を軽減させる策を講じたいという気持ちは、選挙後の今も全く変わりません。飲食料品の消費減税も、その一つの手段です。

 ただ、本当に困っている人たちを手厚く支援するための制度設計とならなければ意味がありません。その点、私は先の衆院選の公約の“肝”は、消費減税の先にある『給付付き税額控除』だと考えてきました」

中・低所得者に的を絞った「給付付き税額控除」

「給付付き税額控除」とは、中・低所得世帯への税金を差し引いて負担を減らす「税額控除」と、それではカバーしきれない分の支援として現金を支給する「現金給付」を組み合わせた制度だ。消費減税が、本当に生活に困っている層だけでなく富裕層にも一律に負担減になるのに対し、「給付付き税額控除」は、中・低所得者層に的を絞った支援ができるのが利点とされる。自民党は公約でこの「給付付き税額控除」の導入を掲げたが、この前提となる国民の金融所得や資産の把握といった制度設計に2年かかるとされた。そのため、制度が整えられるまでの2年間のつなぎの措置として、消費減税(飲食料品の消費税ゼロ)を行うというのが、自民党の公約の趣旨だった。だが――。

「今年2月に公約に基づき発足した超党派の『国民会議』の議論の中で、税額控除は導入を先送りすることが決まり、金融所得や資産の把握も将来の課題と位置づけられたのです」(稲田氏)