ジャニー喜多川による性加害問題を取材してきた髙橋大介氏。取材の中である疑問が湧く。芸能界やマスメディアの中では公然の秘密となっていたジャニーの性加害を、事務所のスタッフが知らないわけはない。彼らはジャニーの行為に本当に関わっていないのか。2023年春、スタッフなど関係者を取材していくと――。(連載「Voices 週刊文春ジャニーズ取材班の290日」第3回より内容を抜粋してお届けします)

「彼もジュニアたちに手を出していたそうです」

 スタッフについては、驚愕の情報が入っていた。

「井上(仮名)というジュニア担当の元マネがいて、彼もジュニアたちに手を出していたそうです」

 遠藤が元ジュニアから聞いた話だった。ジャニーと同様に、ジュニアたちに性加害を行っていた元マネージャーがいるというのだ。ジャニーズ事務所における性加害がジャニーだけにとどまらず、スタッフによるものまであったとすれば、これはさらに大きな問題となる。

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BBCの会見には日本の大手メディアもいたが……

 彼はもう事務所を辞めているらしい。苗字しかわからなかったが、調べていくと本人のフェイスブックに行き当たった。西山はそこに載っている写真と断片的な情報から、住宅地図、さらにグーグルアースと突き合わせて自宅を特定しようとした。自宅を直接訪ねないと話を聞けないと思ったからだ。気の遠くなるような作業に一晩費やしたが、自宅はわからなかった。

 やむを得ず、私は井上が仕事用に公開しているメールアドレスにメールを送り、会って話を聞かせてほしいと伝えた。驚かさないように核心をボカした文面にしようかとも考えたが、むしろ真正面から伝えたほうが真剣に対応してくれるのではないかと考え直し、ジュニアと性的接触を持ったと聞いていると書き添えた。

 正直なところ、返信はほとんど期待していなかった。井上にとっては明らかに厄介ごとだからだ。