ジャニー喜多川の行為を知らなかったと藤島ジュリー景子社長は弁明していたが、実際にはスタッフも関与していた。さらに、あるマネージャーは自分も性加害をしたと告白したのである。高橋大介氏が2023年のジャニーズ問題取材を振り返る連載「Voices 週刊文春ジャニーズ取材班の290日」第8回より一部を無料で公開する。

記者会見があり、記事にしていなかったテーマ

 2023年6月。私たちがジャニー喜多川の性加害について取材を始めて、3カ月が経っていた。

 最初は匿名だけだったが、実名で被害を証言する元ジャニーズJr.(以下、ジュニア)を見つけ、記者会見で世間に問題を周知させるところまでたどり着いた。

 ジャニーズ事務所も藤島ジュリー景子社長の動画メッセージを発信し、「外部専門家による再発防止特別チーム」を発足させるなど、この問題に向き合わざるを得ない状況となっていた。

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 だが私たちには、まだ記事にしていないテーマがあった。

 事務所のマネージャーによる、ジュニアへの性加害だ。

社員の関与は調査報告書にも記載された

 本連載第3回で少し触れたが、すでに事務所を辞めた井上(仮名)というジュニア担当の元マネージャー男性がいた。

 現在50代の井上は、4月の時点で私たちの3時間にわたる取材に応じ、ジュニアへの性加害を認めた。だが、直後にカウアン・オカモトの記者会見があり、ジャニーの性加害問題が急展開を見せていたため、記事にはしていなかったのだ。

 ジュリーは5月14日の動画メッセージと同時に発表した文書の中で、ジャニーの性加害について、

〈知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした〉

 とコメントしていた。さらに、

〈本件を含め、会社運営に関わるような重要な情報は、2人以外には知ることの出来ない状態が恒常化していました〉

 と、自分は窺い知ることができなかったと説明していた。

個人だけではなく、事務所全体の問題ではないのか

 だが私たちが取材した元スタッフはこう証言する。

「タブーではありましたが、多くのスタッフが知っていました。ジュニアの子をジャニーさんが待つ東京全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル東京)に届けるスタッフもいました」

 そのホテルで被害に遭ったという元ジュニアの二本​樹(にほんぎ)顕理(あきまさ)も、

「レッスン場でジャニーさんがマネージャーに、『今日、このジュニアは泊りだから』と告げていました。ジャニーさんが仕事で送迎できない場合や、ジャニーさんと離れた場所で仕事をしているジュニアを、マネージャーが送迎していたと思います。私も全日空ホテルの建物の前で降ろされたことがあります」

 と証言していた。

 ジャニーの性加害には、スタッフの関与があったというのだ。