制作部不要の理由は「高度な経営判断」とだけ
地方局とはいえ、実績を出していた制作部をなぜ不要と判断したのか。当時の経営陣からはハッキリした理由は聞かされないまま。
ただ、「高度な経営判断だ」とだけ言われました。その代わり、新規の目玉企画として、HTBで働いている全員に新番組を作るチャンスが与えられると発表され。部署を問わず全社を横断して新番組の企画が募集されることになったのです。
採用された企画は番組化されて3ヵ月間だけ放送する。でも、3ヵ月経っても手応えがないなら打ち切りとなり。次に採用された企画がまた新たに番組化され、そこから3ヵ月間放送して、ダメならまた新たな企画を番組化して……と。ヒット番組が出るまで、始めては潰すを3ヵ月単位で延々と繰り返すというのです。
たった3ヵ月で結果を出すような新番組とは。いや、そもそも番組の可能性がたった3ヵ月で見極められるのか。キー局と違って数々のヒット番組を作った実績のない地方局に、それが見極められるのか。そんなことのできる人物が社内にいるのか。なにより、そんなに急かされてはローカルの強みである“ゆるさ”が番組に機能できないのではないか。でも、そんな現実的な疑問などあのときの経営陣にはどうでもよかったのかもしれません。
「社員全員に機会を与え、全社を挙げて番組作りに邁進する革新的な地方テレビ局」という姿勢を対外的にアピールできれば、それでよかったのかもしれません。
だって、全社を挙げて企画を募集するだけなら、別に制作部を解散させなくても、いや、そもそも組織を大変革しなくてもできそうなアイデアに思えましたから。あのときの経営トップは、「何か新しいことをしようとしている地方テレビ局」という姿勢を社外に大きくアピールしたかっただけ(私の憶測にすぎませんが)だったんじゃないですかね。
だとしたら改革に紐づけて、なくす理由も見当たらない制作部をあえて解体したわけですから、「これは別の次元で、我々制作部のディレクター連中が当時の経営陣の誰かの気に入らない存在になっており、その嫌がらせを受けて制作部は解散させられたのだろう」と、我々は改革の結果からそう解釈するしかなかったのです。つまり、そこに気づいて我々は反発したんですね。