政治報道における「人事」の記事には二つの勝負所がある。一つは、どの社が先に報じるか。もう一つは、その人事をどう読み解くか。高市政権の秋の内閣改造・党役員人事報道の序盤戦を見ると、スクープ連発の読売新聞の圧勝ぶり、日本経済新聞の分析力、そして朝日新聞の「長い夏休み」が明確になった。
序盤のスクープ合戦を制したのは読売だ。9月3日朝刊の1面トップで「自民 鈴木幹事長続投へ 首相意向」と報じた。
高市早苗首相と鈴木俊一幹事長との関係は政権発足当初から希薄で、あくまでも、鈴木氏が所属する麻生派を率いる麻生太郎副総裁との関係を重視するための幹事長起用でしかなかった。その「党運営の要」となる幹事長を交代させるかどうかが、今回の人事の最大の焦点だった。
そのため、幹事長ポストで特ダネを放ったメディアは、極端にいえば残りの人事報道は「全敗」しても、今回の「勝者」になると言えた。最大の勝負所を読売がかっさらったのだ。
ただ、注目されるのは、読売と首相との関係の変化だ。
読売は今年1月、高市氏の独断だった衆院解散をスクープした。一説には、鈴木幹事長も読売報道によって首相の意向を知ったとも言われる。当時、読売と首相との関係は悪くなかったはずだ。
しかし、衆院選後に様子は一変した。政権が進める皇室典範改正や消費減税法案、衆院定数削減法案に対して、読売は厳しい批判を展開してきた。メディア業界の一部では「読売の乱」との言葉が飛び交った。
ところが8月に入ると、再び読売報道に変化が生じる。
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この続きでは、読売と官邸の距離、毎日・産経・日経・朝日の「人事報道」の中身を読み比べて検証している。「週刊文春 電子版」で読むことができる。


