「読んで、泣きました」栗山監督の手紙の内容

 開幕投手はスワローズとのオープン戦の時、神宮球場の監督室で栗山監督から手紙を渡してもらう形で告げられました。手紙はその場で読みました……『2012年、開幕投手、斎藤佑樹。ともに戦おう。栗山英樹』。それを見て、泣きました。

 なぜ泣いたのか、言葉でうまく説明できないんですが、僕の不安な気持ちと栗山監督の覚悟がすべて手紙に込められていて、涙が溢れてきたんです。頑張ろう、栗山監督を胴上げしたいと、その時に強く感じました。栗山監督もちょっとウルッとしていたような気がします。

 開幕前日はめちゃくちゃ緊張しました。練習を終えたロッカーで僕がソワソワしているのを感じたのか、稲葉篤紀さんに「おまえ、もしかして緊張してるの」と言われたんです。

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 だから「ハイ、緊張してます」と答えたら、金子さんが「今日、飲みに行ってきたら?」と言うんです。「いやぁ、明日、投げるんで」みたいに返事したら、「飲みに行ってさ、二日酔いで明日来いよ。そのぐらいの気持ちでいいんだよ。全然、大丈夫だから」って(笑)。それですごく緊張が和らぎました。

 開幕戦は、札幌ドームでのライオンズ戦です。初球についてはツルさん(キャッチャーの鶴岡慎也)とずっと話をしてきて、「(ライオンズの1番バッター、エステバン・)ヘルマン選手は初球を打ってくる、打つのは真ん中からアウトコースの球」というデータがあったので、「インコースへ投げて、踏み込ませないように、それでも振ってくれば詰まって内野ゴロが最高だね」ということでまとまっていました。だから初球はインコースへフォーシームを投げたのを覚えています。

この試合、斎藤は4安打1失点でプロ初の完投勝利。「“持ってる”のではなく、背負ってます」という名言を残した ©文藝春秋

 力んだせいか少し高く浮いてしまいましたが、きっちりとインコースへ投げて、うまくヘルマン選手の足を動かすことができました。その結果、最後もインローの真っすぐ(140キロ)でヘルマン選手を見逃し三振。2番の栗山巧さんをサードゴロに打ちとって、ツーアウトから3番の中島裕之さん、4番の中村剛也さんを歩かせてしまいます。

 続く5番の嶋重宣さんに、でっかいファウルを打たれました。あの打球、マウンドからは完璧なホームランに見えたんです。ライトのポール真上で、当時、もしリクエスト制度があったらどうなっていたかわからない打球だったと思います。

 もしあれがホームランだったら初回の3失点ですから、当然、いい流れになるはずがない。ファウルの判定を聞いて、心底、ホッとしました。結局、嶋さんをセカンドゴロに打ちとって初回をゼロに抑えると、2回以降はリズムに乗ることができました。徹底してストライクゾーンで勝負できたことが、いい結果につながったんだと思います。

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