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「あのとき昼寝しててよかったね」と祖母が語った理由
結海さんは「ヘンなの」と思いながらも、2階の子ども部屋で妹の寝顔を見たあと、いつものように徒歩で小学校へ登校した。そして15時過ぎ、夕方前には帰宅すると、家には誰もいなかった。結海さんが言う。
「その日は水泳もダンスも、何も習い事がない日だったので、家に帰ってすぐに1階の居間で昼寝しちゃっていたんです」
桑田は、結海さんが帰宅するまでの間に、2階で紘子さんから生活苦を責められ、ついには首に手をかけて絞殺したことになる。だから結海さんはその現場を見たわけでも、気づいていたのにやり過ごしたわけでもない。
中学生のときも大人になってからも、母の実家に戻ると、ことあるごとに「あのとき昼寝しててよかったね」と祖母が口にしたのは、もし何かの拍子で起きてしまっていたら桑田の魔の手が結海さんにも及んでいたと思っているからだろう。
陽が落ちてから起きた結海さんは居間の灯りをつけた。正確な時間はわからないと言う。それでも、目が覚めてから少しすると、誰もいなかった家に、保育園帰りの妹と桑田の姿があった。
桑田の姿を見たのはそのときだけで、夜から翌朝まで、結海さんは妹と二人きりだった。覚えているのは台所にあった菓子パンを食べ、2階の子ども部屋のベッドで寝たことだけで、どう過ごしたかは覚えていない。
