8月25日、藏内勇夫(72)は福岡県議会議長、そして約40年にわたり務めてきた県議を辞職した。

 ことの始まりは、7月7日、元議長の吉松源昭(もとあき)県議が、議長ポストの見返りに総額2000万円以上を自民党県議団幹部に支払ったことを会見で告発したことだった。吉松の告発は、既に報じられていた高額の海外出張費用問題とあわせ、福岡県議会問題として、メディアを賑わせることになった。吉松の告発により、メディアのターゲットとなったのが、“福岡県議会のドン”と呼ばれる藏内だった。本人も自嘲するように、藏内は「日本一悪い男」となった。わずか50日で、権力の椅子からすべり落ちた男が語る。

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国の下請けじゃない

 ──「国会議員とも喧嘩できる」と言われる福岡県議団。その力の源泉は?

 藏内 地方分権を進めなきゃならんという気持ちが根底にあります。福岡県は国の下請けじゃない。道州制がいつ導入されるかわかりません。今言われているような副首都構想が九州に適用されて、九州府になる可能性だってある。麻雀であと一枚、牌が来れば上がれる状態を「テンパってる」と言いますよね。我々福岡の県議たちは、いつ制度改革が起きても対応できるように政策を勉強し積み上げて、まさにテンパってる状態になっておかないといけない。

藏内勇夫氏は2回にわたり小誌のインタビューに応じた ©文藝春秋

 全国の県議会で、福岡県ほど条例を作っているところはありません。中でも「飲酒運転撲滅条例」は全国でも初めての罰則付条例です。

 福岡県議会は一番、勉強しているんですよ。我々が国の権限、国会の権限を取ろうとする。向こうからしたら、この野郎となるじゃないですか。でもそこで、県議団は結束して理論武装して、一歩も引かない。ですから県議団が強くなったんです。

〈藏内家の応接間には、一葉の写真が飾ってある。真ん中に座るのは村山富市元首相。そして一番左には、若かりし頃の藏内氏。九州各県の関係者と国会に陳情に赴いた際のカットを、藏内氏は「宝物」と表現する〉