出産、育児を経験したことのある女性なら、多くの人が苦しんだはずのワンオペ育児。どれだけ男性の育児参加が進もうとも、子どもを育てるうえで女性が担う責任の重さと、過酷な日常が大きく変化したようには到底思えない。
天井に突然大きな穴が空き、大量の水が漏れ、部屋は水浸しに
家事、育児に追われるセラピストのリンダには、原因のわからない摂食障害を抱える幼い娘がいる。栄養を入れるチューブがお腹に刺さっている娘の通院から、夜中の栄養剤の補充まで、全てをたった一人で行うリンダ。しっかり眠ることもできない過酷な日常に、徐々に追いつめられていく。そんなある日、自宅アパートの天井に突然大きな穴が空き、大量の水が漏れ、部屋は水浸しになる。あいにく夫は長期出張中。やむなく、娘を連れて安モーテルで仮住まいを始める。長期出張中の夫は、リンダがストレスに晒されている場面に限って電話をかけてきては、自分は必死に仕事をしているのだから、君がなんとかしろとリンダに優しい言葉をかけるでもない。
かろうじてリンダの味方だと思えるのは、コナン・オブライエン演じる同僚セラピストと、エイサップ・ロッキー演じる怪しい隣人だ。セラピストとして悩める人を支援する立場のリンダが、最も助けを必要とする存在としてスクリーンに登場しつづける。もがき苦しみながら、酒に溺れ、ドラッグに手を出し、まったく状況は改善することなく、むしろすべてが泥沼にはまっていく。
リンダと娘に手を差し伸べる立場である娘の主治医は、病を持つ子の親を追いつめるようなアドバイスを続け、リンダに強いプレッシャーを与える。病院で開かれる家族会議に出席することを強要し、リンダは仕方なくその場に出るが、出席しているのは医師を含めて女性(母親)だけ。そして議題に上るのは「子どもの病気はすべて母親のせいでは?」という悩みについて。我慢がならなくなったリンダは病院を飛び出し、結局、娘と共に病院の支援からも離れてしまう。


