「乙武(洋匡)さんと同じですか、とよく聞かれるんですけど、厳密にはちょっと違うんです」

「先天性四肢欠損症」として、腕や足が欠損した状態でこの世に生を受けた佐野有美さん(36)。現在は講演家・タレントとして活動しているかたわら、YouTubeチャンネル「佐野有美〜四肢欠損ママの日常〜」で日々のようすを発信している。

 幼少期には「私ってこんな体なの?」と葛藤したこともあるというが、自らを受け入れ、そして一緒に暮らすパートナーや子どもにも恵まれて幸せな日々を過ごしている佐野さんに、自身の身体のことや、幼少期のエピソードをどのように受け入れていったのかを聞いた。

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先天性四肢欠損症を持って生まれた佐野さん(左) 写真提供=本人、以下同

「両肩から先がない」下半身には指が計4本

 佐野さんは自身の障害について、こう説明する。

「同じような障害を持つ乙武さんをはじめ、一口に『四肢欠損』と言っても症状はさまざまなんです。私の場合は両肩から先が全くなくて」

 佐野さんは両腕自体がなく、下半身は短い左足に指が3本、さらに短い右足に指が1本という状態で生まれた。出生時、母親は古い病院に通院しており、エコーがなかったため、産んでから初めて四肢欠損だと知ったという。

 当時の医師たちも経験がなく、生まれた佐野さんはすぐにNICUのような場所へ連れて行かれた。産後2日後に初めて娘を目にした母親の驚きは相当なものだったと、佐野さんは振り返る。

「なんで手足がないの?」「怖い」と言われ……

 佐野さんが、周囲との違いを初めて痛感したのは保育園だったという。年長から通い出した際、周囲から「なんで手足がないの?」「お化けだ」「怖い」といった言葉をかけられた。

「保育園の前は『肢体不自由児施設』に通っていて、いろんな子が周りにいる環境だったんです。みんな違うから、逆にみんな一緒みたいな感じで、自分だけが違う意識は全然なくて。それが、保育園でいろんな言葉を浴びて……ショックを受けましたね」

周囲との違いを初めて意識したのは、保育園のときだった

 ただ、周囲の子どもは一度説明すれば佐野さんのことを理解してくれた。その後は、両親の尽力や周囲の協力もあって一般の小学校へ進学。そこでも低学年のころは好奇の視線を浴びたというが、友人にも恵まれて楽しい生活を送っていたという。

 しかし、そんな生活にも変化が。周囲に甘え、横暴になってしまっていたという佐野さんに友人たちが愛想を尽かせてしまったのだ。

「ある日、『有美にはついていけない。無理。』と言われ、一人になってしまいました。

 それと同じころ、お風呂で自分の全身をはじめてちゃんと見て、それにもショックを受けました。今までもずっと見ていたはずなんですけど、まじまじと見たとき『私ってこんな体なの?』とすごいショックを受けちゃって……」

 佐野さんはここから「よくこんな体とみんな遊んでくれてたよね」と絶望し、何度も死にたいと考えるようになってしまったという。続く記事やインタビュー全文では、佐野さんとパートナーとの出会い、さらに子どもの出産で感じた葛藤などを聞いていく。(つづく)

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