先天性四肢欠損症のタレント・佐野有美さん(35)。生まれつき両腕がなく、短い両足にある計4本の指と口を使って家事などを行う姿を発信し、障害とともに生きるリアルを伝えている。

 かつては恋愛に対して苦手意識を持っていたと話す佐野さんだが、2017年に結婚し、2020年には第一子となる娘を出産した。現在のパートナーや義両親と出会った際の思い出などを振り返ってもらった。(全3回の2回目/続きを読む)

一時は恋愛に苦手意識を持っていた佐野さんだが、2017年に結婚して現在は5歳の子どもを育てている 写真提供=本人、以下同

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――『五体不満足』で知られる乙武洋匡さんと親交があるそうですね。

佐野有美さん(以降、佐野) そうなんです。電動車椅子に乗り出したのも、母が『五体不満足』に影響されたことがきっかけでした。

 それまでは手で押して進む普通の車椅子だったんで、初めて乗った時はヤバかったですね。

――全然違いましたか。

佐野 とにかく楽しくて、めっちゃ暴走しました(笑)。普段、家ではお尻を引きずってずりずり移動していたのでその速度しか知らなかったし、自分で動ける喜びがすごかったですね。

「私は自転車には乗れないけど、電動車椅子があればこんなに速く移動できる!」という喜びもあって、ビュンビュンで。だから母は、「ちょっと早かったかしら」みたいに戸惑ったらしいです(笑)。

障害者手帳があるため1割負担で済んでいるが、完全に特注しているという電動車椅子の定価は、1台250万円ほどだという

――そういえば知り合いの人が街で乙武さんに会ったとき、「めちゃくちゃスピードが速かった」と言ってました。

佐野 当時は時速2キロくらいで、それでも速く感じましたが最近の電動車椅子は最高で6キロくらい出ますからね。ただ、私が乗っているモデルがもうすぐ販売終了になっちゃうんで、乙武さんにも相談してみようかなとか、いろいろ考えてます。

――定期的に買い替えてるんですか。

佐野 最長でも10年で買い替えるべきだといわれていて、今乗っているのは6代目かな。障害者手帳があるので1割負担ですが、定価は1台250万円くらいするんですよ。

 手で操作する電動車椅子が一般的なモデルになるんですけど、私の場合は足で操作するタイプで、完全に特注です。でも、買ってから10年経つと職人さんが別の人に代わっていることもあるので、そういった意味でちょっと大変ではあります。