10月2日、がんになっても働き続けるための取り組みを進める企業の表彰イベント(「がんアライ宣言・アワード」表彰式)が都内で行われた。第1回「がんアライ宣言・アワード」には21社からのエントリーがあり、必ずしも大企業ばかりではなく、社員2名という規模の会社も参加。企業ごとに特色のある取り組みを行っており、3企業の人事担当者が講演を行った。
がんを治療しながら仕事を続けている人は全国に約32.5万人
いま、がんを治療しながら仕事を続けている人は全国に約32.5万人いると言われている。がんは「死に至る病」から「長く付き合う病気」に変わり、約3割の人が働くことが可能な年齢でがんに罹患しているという現状があるが、勤務先にサポート制度がなかったり、制度を利用できない雰囲気があることが、当事者の声から分かってきた。そんな状況を変えようと、がんを治療しながら働く「がんと就労」問題に取り組む民間プロジェクト「がんアライ部」が2017年10月に発足した。
今回、表彰された企業のひとつ、伊藤忠商事の西川大輔さん(人事・総務部 企画統轄室長)は、がんについての取り組みのきっかけとなったのは「2017年2月、ある社員が当時の社長に宛てたメール」だと話した。そのメールの中で、自分はがん闘病中であり、周囲の人に支えられていることから「私の中では日本でいちばんの会社です」というメッセージが綴られていたという。その社員は数日後に亡くなった。在職中に亡くなる人の9割は、がんなのだ。伊藤忠商事では、こういった環境を少しでも良くしたいという思いで、「がんの予防・治療・共生」を目指した取り組みを続けている。