「エヌビディアをサポートしてきたのはイビデンだけだった」
――確かにAIに使われる先端的なGPUには8割以上、イビデンのパッケージが使われています。エヌビディアとは長い関係なのですか。
河島 実はかなり長くて、あちらがまだできたばかり(エヌビディアは1993年設立)の頃からです。
イビデンは半導体用のプラスチックパッケージのメーカーですが、元々半導体パッケージはセラミックが主流でした。そんな中で私たちがインテルにプラスチックを提案し、96年に採用されたことで、半導体業界全体がセラミックからプラスチックに切り替えていきました。その流れの中でエヌビディアとの取引も始まったのです。
ただ、ある時期までは社内に「GPUのようなあまり数量が出ないものより、インテル向けに生産能力を振り向けた方がいい」という議論があったのです。半導体産業はずっとインテルが席巻していましたからね。それに比べてエヌビディアのGPUは、以前はゲームや映像に使われるチップで、生産量はインテルに比べて微々たるものでした。私も正直なところ、否定的だった一人です。
にもかかわらずエヌビディアとの関係が今に繋がっているのは、加藤(久始取締役)君のおかげ。彼が「エヌビディアも重要なお客さんだ。維持したい」と主張して、細々ながらもGPUを担当し続けて関係を維持してくれたんです。
――加藤さんは殊勲賞ものですね。
河島 本当にそうですよ。そのおかげで、AIチップとしてGPUが一気に上がってきた時に「エヌビディアをサポートしてきたのはイビデンだけだった」となったわけです。
※この続きでは、「エヌビディアの『価値』を早くに見抜けた理由」について、イビデン取締役の加藤久始氏がコメントしています。約6000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』に掲載されています(河島浩二「エヌビディア、インテル、TSMCが求愛する日本企業『イビデン』社長が語る“地方企業の生き残り方”」)。
河島浩二(かわしま・こうじ) 1963年生まれ。慶応義塾大学理工学部管理工学科を卒業後、1987年にイビデン入社。アメリカ子会社、PKG(パッケージ)事業本部長、経営企画本部副本部長兼人事部長、電子事業本部長などを経て2024年6月からイビデンの第13代目社長。長年の顧客のインテルでは「コージ」と呼ばれて親しまれている。

