ドリアン こういうのをジャケットスタイルの女装のときにやるとお客様がとっても喜んでくれるんです。
岡村 なんだか頭が混乱します。ドラァグクイーンなのに(笑)。
ドリアン 混乱させたいんです。おじさんが女装して、さらに男性的になるっていうツイストが好きなので(笑)。
寛容ではあるけれど、存在しないものとして扱われる
岡村 ですから、日本においてはそういった女性人気が、LGBTQイシューへの肯定的な空気をつくっている部分もあるのかしら。
ドリアン 功罪あると思います。BL作品の中で私たちが抱える本当にリアルな問題を描いているかといえば、やっぱりまだまだそういうのは少なくて。「BLは好きだけど同性婚とかどうでもいい」という人たちもいっぱいいますし、「そこに政治の話とか持ち込まないでよ」という人たちも多いなって肌感覚としてはあります。
それこそマドンナやレディー・ガガのようなパワーを持った日本のアーティストが寄り添ってくれれば、いろんなことが変わりそうだなとは思うんですが。
岡村 そこですよね。欧米では、自分が同性愛者であることや、同性愛者に向けて音楽を作っていることを表明する人が多いじゃないですか。例えば、最近だとサム・スミス。イギリスの国民的ポップスターだけど、ゲイであることを公表しましたよね。でも、日本の音楽シーンではそれを公言するスターが見当たらないんです。
ドリアン これはあくまでも私個人の解釈なのですが。日本ってゲイであることだけでは命を奪われない国だと思うんです。宗教的な戒律もありませんから、迫害されたりしないし、石つぶてを投げられることもない。でもその代わり、ずーっと「いないもの」とされてきたんだと思います。これはロバート・キャンベルさんもおっしゃっていましたが、「寛容ではあるけれど、存在しないものとして扱われる」と。
でも、欧米では、そういう人たちの存在が認識されていたからこそ、異端者として弾圧され迫害を受け、それに抵抗して声を上げて闘争もしてきた。そうやって獲得した「生きる権利」なので、「自分はゲイである」ことを表明しやすい土壌があると思うんです。でも日本では「いないもの」とされているので、なんとなく「なあなあ」で生きていくしかない。ゲイを公言する人が少ない理由はそこじゃないかなって。
知り合いのゲイの歌手に聞くと、カミングアウトはデメリットでしかないのがいまの日本だと。誰もが知るポップスターで「私は同性愛者です」と明言したのは美輪さんぐらいだったと思います。
岡村 なるほど。
