人類滅亡──そんな言葉が頭をよぎってしまうほど災害続きの昨今。私たちはいかに生き残るのか。そのヒントと不安を吹き飛ばすアクションを期待して、今週はこちらの作品を「ScreenX with Dolby Atmos」でチェック!

今週のターゲット『ラスト・サバイバー』

〈あらすじ・概要〉謎のパンデミックで人類の大半が死滅した世界。パイロットのヒッグ(ジェイコブ・エロルディ)は元軍人のバングリー(ジョシュ・ブローリン)と組み、侵入者と戦いながら暮らしていた。ある日、無線で謎の声を傍受し、その発信地を目指す。リドリー・スコット監督が、ピーター・ヘラー原作のベストセラーSFを映画化。119分。公開中。

 

◆ ◆ ◆

ADVERTISEMENT

 正面・左・右の三面に映像を投影する「ScreenX」、そして前後・左右・頭上と三次元の音響空間を再現する「Dolby Atmos」。今回は、この二つの上映システムを組み合わせた「ScreenX with Dolby Atmos」を体験すべく千葉市にあるT・ジョイ蘇我へ。料金はプラス900円。果たしてその価値はあるのか?

 物語の舞台は、パンデミックによって荒廃した近未来。今にもゾンビが襲ってきそうな世界観ですが、本作で怖いのは生き残った人間です。性悪説寄り、また銃ありきの過激なサバイバル術はアメリカならではかも(?)。

 そんな殺伐とした世界で暮らす主人公ヒッグを演じるのが、次世代スターとして大注目のイケメン俳優ジェイコブ・エロルディ。今年『フランケンシュタイン』の怪物役でアカデミー賞助演男優賞に初ノミネートされたうえ、“次期ジェームズ・ボンド”の呼び声まである新星です。

 ところが本作では、とにかく暗い! 目はうつろで口数も少なく、ほとんど笑いません。まあ、それもそのはず。ヒッグは最愛の妻を亡くした喪失感を抱え、愛犬ジャスパーと小型機を相棒としてなんとか生きている――死なずにいる状態なのです。やがて彼は旅立ちますが、どこへ行けば自分が救われるのかは分かっていない。旅先で出会う人々も、それぞれ何かを失い、消えない傷を抱えて生きています。

 ……と、そろそろ気付きましたよね。そう、本作は題名から想像していたような単純なサバイバルアクションではなかったのです! むしろ、「失ってしまったものと、どう折り合いをつけて生きていくのか」を静かに描いた物語。一種のセラピー映画です。世界の終末を舞台に、心にまで終末感を漂わせていた男が、再び誰かと関わることを受け入れるまでをじっくり見せていく、そんな作品でした。

 さて肝心の「ScreenX with Dolby Atmos」との相性ですが、これが案外悪くはありませんでした。雄大な自然、荒廃した街、さらに小型機で飛ぶ大空などは迫力十分。画面いっぱいに広がる大空とヒッグの閉ざされた心があまりに対照的で印象的でもあり。

 ちなみに、犬好きにはつらいシーンも……。ふと原題を見ると、どこか詩的な『The Dog Stars』。見終わってみれば、こちらの方が愛犬と亡き妻の記憶を抱えて生きるヒッグにはずっと似合っている気がしました。

次のページ 写真ページはこちら