累計発行部数一億部を超える大ベストセラー作家にして、その多くが映像化もされてきた故・東野圭吾さん。今回は追悼の気持ちを込めて、映画化最新作にしてヒット中の『白鳥とコウモリ』をチェックして参りました。

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今週のターゲット『白鳥とコウモリ』

〈あらすじ・概要〉善良な弁護士が殺害され、容疑者の自供で事件は解決……したはずだった。しかし容疑者の息子(松村北斗)と被害者の娘(今田美桜)は、それぞれの父親の言動への違和感から、事件の真相を共に追い始める。原作は2021年刊行の東野圭吾の同名小説。岸善幸監督。145分。公開中。

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『白鳥とコウモリ』

「原作・東野圭吾」と聞くたびに「え~、また?」と言い続けてきましたが、もう新作が書かれることはないのだと思うと、せめて映像化の新作は楽しみに拝見しよう……としんみりした面持ちで秋雨の中、新宿ピカデリーへ。

 本作は、東野原作の実写映画としては、なんと27作目。そりゃあ、「また?」って言っちゃうはずです。内容も泣ける系の『手紙』(06)や『白夜行』(11)から、スター主演のエンタメ大作『マスカレード・ホテル』(19)や『ブラック・ショーマン』(25)まで、実によりどりみどり。その人気を裏付けるかのように配信率も高めです。出演陣も豪華絢爛! 今回は、松村北斗と今田美桜のW主演作。殺人事件の容疑者の息子と、被害者の娘が手を取り合って、真相に迫っていく――。

「むむ、重そう……」と、やや覚悟して臨んだのですが、“罪と罰”“善と悪”という重厚なテーマを扱いながらも語り口は軽やかで、画面が無闇に暗くなく、お芝居もくどくないことに救われました。そしてズバリ、主演の二人がとても良い! まず、松村北斗の表情が素晴らしい。父親の思い出を語る場面での、泣きの芝居には泣かされました。

 一方の今田美桜は、CMでおなじみの明るくキャッチーなお顔立ちに反して、落ち着いたトーンの声が魅力的。台詞が心に染み込んでくる声と言いますか。静かに想いを交差させていく若者二人と、ベテランたちとのアンサンブルもお見事。三浦友和、風吹ジュンは言わずもがな、事件の担当刑事を演じる柄本佑が最高! 致命的な捜査ミスに気付いた瞬間に繰り出すジェスチャーはもはや発明(ぜひ見て!)。

 それから、後輩刑事役・売れっ子バイプレイヤーの前原滉も推したい俳優さん。柔らかい声と笑顔に癒されます。刑事二人が大衆居酒屋でお酒を飲みながら語り合うシーンは、この映画におけるオアシスのようでした。

 人物の初登場時に名前と肩書きがテロップ表示される仕様には賛否ありそうですが、個人的にはありがたい親切設計でした。不要な混乱もなく、2時間超、集中力を途切れさせずに観ることができました。また、「あなたはどう考えますか?」という問いで終わらず、未来に希望を持たせるようなラストも説教臭くなくて〇。タイトルの意味も含めて誰かと話したくなりました。実際、感想を語り合う20代男性コンビを目撃。いい映画でした。

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