「2階に上がると火がつけられていたので、火を消すと、部屋の奥に顔がパンパンに腫れた娘が仰向けで横たわっていたのです」

 2008年に起きた「北海道カレー店妻娘殺害事件」。家族である妻と生後6ヶ月の娘をネパール人の夫はなぜ残虐な方法で殺めたのか? 事件の経緯を、ノンフィクション作家の八木澤高明氏の文庫新刊『殺め家』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目)

写真はイメージ ©getty

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妻と娘を殺害した「ネパール人の夫」

「娘たちが暮らす家に入ったら、煙がもうもうとしていて、何も見えませんでした。急いでライトを取って来て、再び娘が暮らしていた家へ入ると、煙だけでなく、シューッという音もする、何かと思ったらガス栓が切ってあったのです。

 急いでガス栓を止めて、2階に上がると火がつけられていたので、火を消すと、部屋の奥に顔がパンパンに腫れた娘が仰向けで横たわっていたのです。

 それは自分が知る娘の顔ではありませんでした。すぐに娘を抱きかかえ救急車を呼んだのです。あんな残虐な殺し方ができる人間は何者なのか、娘の旦那だった男だけに、どうしても気になるのです」

 事件は2008年5月6日未明、北海道で起きた。ネパール人の夫バハドー・カミ・シュアム容疑者(26歳)が日本人の妻智江さん(29歳)を殺害、さらに娘のジュヌちゃん(6ヶ月)を川に流したのだ。

 2008年、取材に応じてくれた智江さんの父親は事件直後の様子を語ってくれたのだった。

 シュアムと智江さんは、ネパールの首都カトマンズで出会った。きっかけは彼女が銀細工を学ぶために訪れた、工房のスタッフの中にシュアムがいたことである。