2008年に北海道で起きた「カレー店妻娘殺害事件」。
ネパール人の夫は、日本人の妻と生後6ヶ月の娘を残虐な方法で殺害した。妻の顔は判別できないほど腫れ上がり、現場にはガス栓が開かれ火が放たれていた。
ネパールで出会い、北海道で幸せな店をオープンさせたはずの2人。なぜ妻と幼い命は奪われなければならなかったのか。事件の背景と男の素顔を探るべく、筆者はネパールへと飛んだ。そこでわかった「男の過去」とは――。
ノンフィクション作家の八木澤高明氏の文庫新刊『殺め家』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)
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ネパールにいた妻子
ネパールには妻子がいて、その存在を隠して智江さんと結婚した。
シュアムのカトマンズでの生活ぶりについても証言してくれる人物に出会った。
シュアムとは10年近い付き合いになるという彼は、私が接触した当初は証言を拒んでいたのだが、数日して重い口を開いてくれた。
「夜もなかなか寝付けなかったんだ。本当のことを話さなければと思ってね。でも奴は俺の友人だから、どうしたらいいんだと考え続けていたんだ。前に会った時、奴は真面目だなんて言ったけど、本当はとんでもない奴なんだよ。犯罪歴もあって、しっちゅう喧嘩ばかりして、ひとことで言ってしまえばギャングみたいなものさ」
友人の男は、シュアムが警察に捕まった時に、何度も身柄を引き受けに行ったこともあったという。
男によれば、逮捕歴もあり、刑務所にも入っているという。
