今年、最高に泣ける映画。それはまた、最もシンプルな映画でもある。デビッド・エアーが『ハート・オブ・ビースト』の脚本に心を惹かれたのも、まさにそれが理由だった。
「脚本を読んで泣いたよ。何度もね。まるで詩のように美しかったから。その話をどう映像で語るのか? 大自然があり、ブラッド・ピットと犬がいる。それだけ。隠れ場所はない。この映画には、普段とは違う精密さが要求される。僕は、真の職人にならなければならなかった」
これは犬の映画。ブラッド・ピットは助演男優だ
ジェームズ(ブラッド・ピット)とオーディン(犬)は、同等の主人公。むしろ、オーディンのほうがほんの少し出演時間が多いかもしれない。
「そう、これは犬の映画。ブラッドは助演男優であることに満足していたよ。この犬は、ロケ地のニュージーランド全域を探して見つけた。元介護犬で、人を助けてきたし、ヘリコプターに乗った経験もある。引退して一般家庭の飼い犬になっていたところ、またこうやって仕事をしてもらうことになったわけさ。ブラッドは早めに現地入りし、トレーナー、犬と一緒にたっぷり時間を過ごした。彼らは本当の家族のようになったよ」
犬との間に絆があることはもちろん重要。だが、ほとんどせりふがない状態でストーリーを語るために、ピットは見えないところで大きな貢献をしている。
「自分の演技をやりつつ、同時にトレーナーとして犬に指示を出している。目線、アングル、そういったテクニカルな側面を常に考えているんだ。サバイバルスキルを事前に習得し、怪我をどうケアするか、どうやって焚き火を起こすかなど、細かいところまで正しくやってもいる。編集作業の過程で『ブラッドはここまでやっていたのか』と発見することは、珍しくなかったよ。彼自身の演技の奥深さに関しても。目だけであそこまで恐怖を表現していたとは、撮影現場で気づかなかった」

