和希と七緒は鏡写しのような存在
――石橋さんはミュージシャンを目指してこの業界に入りました。和希にとってピアノはどういう存在だと思いますか。
石橋 もう切っても切れない存在ですよね。結局、和希がいちばん生き生きしているのはピアノを弾いているときなんですよ。表情も含めて、いちばん楽しそうなのはピアノを弾いているとき。
僕自身も音楽に触れているときがすごく楽しいし、自分で音を見つけていく喜びというのを感じます。和希が「翼をください」をアレンジしてすごく楽しそうに弾いている場面も、そういう自分の感覚に重ねながら演じました。
――永瀬さんが演じた七緒は、最初は警戒心が強いですが、和希と交流するうちに心を開いていきます。
永瀬 監督にも言われたんですが、七緒は弱い人間じゃなくて、心は強い存在なんですよ。子どもらしい元気さがありつつも、意外に大人っぽい考えを持っていて、世間体や人にどう見られるかをすごく気にしてしまう。でも、現代に来て、知らない人たちばかりの中で、改めて自分の気持ちに真摯に向き合えるようになっていく。
七緒を演じる上では、感情の振り幅がどんどん大きくなっていくことを意識して、声をどんどん出していったり、抑揚を大きくしていったりしました。前半と後半で、明確に演じ方を分けています。
――七緒から見た和希は、どんな存在だったのでしょうか?
永瀬 和希は自分のことをあまり話してはくれないんですね。だけど七緒にはすごく優しさや気遣いを向けてくれる。この人は自分の優先順位がめちゃくちゃ低い人だ、ということは感じていたんだと思います。七緒自身も、過去の出来事を人に言えない苦しさを抱えているから、鏡写しのような存在に思えていたかもしれないなと。
和希は考えてから言葉を出すタイプで、七緒は考えるよりも先に口が出る直情型。でも、そういう自分の投げたボールを受け止めてくれるかもしれないという確信が、一緒に過ごしていくうちにどんどん生まれてくる。
陽彩くんの優しいお芝居のおかげで、七緒にとっては救いというか、少し光のようなものが見えたんじゃないかなと思っています。


