運転手さんが「このために?」
“そこがいいんじゃない!”と間髪入れず思い、奮発することにした。それは建物の中にいる。アドベンチャー要素は全くないと踏んだのだが……。調べたところ、その人魚像は15年ほど前に閉店した大和上越店(本町4丁目)からランドビルに移設したものらしい。ま、言うても上越市素人にはよく分からないのだが。
30分ほど走った時、運転手さんは「どこから来られたんです?」と、聞いてきた。「東京からです」と返すと「このために? 一体、どんなお仕事されてるんです?」と、問い詰められ弱った。「いやぁー、何と言うか」街で職質された時のようにモゴモゴ言ってると運転手さんは「これから雪はさらに降るそうですよ」と、話を変えた。
それからしばらくして「このビルだと思いますが」と、車はスピードを落した。車窓から、ランドビルと大きく書かれたシャッターが見え、気は上ったものの、それはぬか喜びだった。ビルは完全に閉っているではないか! 正月休みなのか……。予想しなかった最悪の事態。悔しくて「ちょっと見てきますので」と一旦車を降り、シャッター脇にあるガラス窓に必死で張り付き中を覗く。すると、薄っすらだがロビー前にそれらしい像を発見! ガラス越しに撮った(2)。
そのまま直江津駅へ戻ったのでタクシー代は1万円を優に超えていた。
(「人魚像ハンティングの旅」第1回はこちら)
INFORMATION

みうらじゅんさんの連載「アウト老のすすめ」をもとにした書籍『ファンタ爺のめざめ』は11月5日に刊行予定。
日本各地の人魚像を探す旅に出て描いた「ファンタ爺アート」もカラーで収録。
