極めつけとなったのが、デミ・ムーアの新たなる全盛期。かつて「B級女優」と馬鹿にされがちだった彼女が、60代にして主演映画『サブスタンス』(2024)をヒットさせ、アカデミー賞にノミネートされる旋風を巻き起こしたのだ。

デミ・ムーア(『サブスタンス』より)©Aflo

 しかし、栄光の『サブスタンス』は、暗黒のルッキズム(外見による差別や外見至上主義)時代の到来も予期していた。デミがかつての摂食障害の苦しみを注ぎ込んで熱演した主人公は、落ち目のハリウッド女優。50歳になった途端に仕事を失ってしまったことから、あやしげな注射を打って「若く美しい身体」を手に入れ破滅していくボディホラーだ。年長の女性たちの活躍が増えた現実の芸能界でも、ルックス重視の姿勢は変わらない。これまで挙げてきた女優たちも、年齢に比べて遥かに若いルックスを維持している。素直に歳をとっていいというわけではないのだ。

「70代にして40代のような顔つきに」最新の美容医療技術とは

 芸能界をめぐる技術革新は、コンテンツやマーケティング面だけではない。美容医療も大いに進化して「中高年の若返り」に貢献している。

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 SNSを通して世間一般の美容整形トークがカジュアル化した影響もあり、施術歴をオープンに語る女性芸能人も普通になってきている。なかでも驚異の「若返り」として注目を浴びたのが、タレントのクリス・ジェンナーのフェイスリフト。70代にして娘と姉妹のような顔つきになったと騒がれるほどの変身ぶりだった。自ら執刀医まで明かした彼女が受けたとされるハイブリッド施術のひとつが、ディーププレーン式。皮膚だけを引き上げるのではなく、その下にある組織から整えることで自然な仕上がりを目指せるという。

クリス・ジェンナー ©Aflo

 美容皮膚科や毛髪治療の分野でも、肌や細胞そのものの再生を目指す方向へ進化していっているようだ。こうした恩恵もあってか、今ではリンジー・ローハンのような40代の芸能人がこぞって「永遠の35歳」化しているとも言われている。

 一方、美容整形を後悔する女優もいる。『セックス・アンド・ザ・シティ』(1998~2004)のクリスティン・デイヴィスや『フレンズ』(1994~2004)のコートニー・コックスは「年老いてはいけない」プレッシャーのなか若さを追い求めたあまり、ボトックスやフィラーをやりすぎてしまったり、そのことでさらに嘲笑されてしまった苦難を明かした。