また戦争の記憶について、「戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ」と述べ、天皇家において体験を継承する意志を再確認し、国民に次世代へと受け継ぐ努力を呼びかけた。実際に、天皇と皇后は、慰霊の旅を自らの使命として続けた平成の天皇の意志を引き継ぎ、「次の世代にも戦争の歴史や平和への思いを引き継いでいきたい」との思いを明らかにしている。天皇の8月15日におけるお言葉は、歴史のなかで育まれた天皇家の「家訓」であり、「深い反省」を語り続けることは、天皇家の揺るぎない意志表示なのである。
「天皇がお言葉を述べる機会を作らなかった」
天皇と高市の歴史観の乖離が顕在化したことは、今年4月29日に行われた「昭和100年記念式典」の反復でもあった。高市は昭和を振り返るに際して「戦争の時代」の内実にまったく触れず、天皇がお言葉を述べる機会を作らなかった。だが翌日、天皇は所感を発表し、戦争への深い反省と平和への努力を呼びかけたのだった。
その後、高市が皇室典範改正へと走るなか、天皇は6月11日、オランダ、ベルギー訪問前の記者会見で発言した。「こうした皇族数の確保の在り方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」。それは婉曲ながら、政治権力が自らと国民を無視して皇室典範改正を拙速に進めることへの違和感の表明と思われた。
※約9300文字の全文では、「愛子天皇」が歴史の必然と言える理由について語っています。全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年10月号に掲載されています(保阪正康「愛子天皇は歴史の必然である」)。
