映画の中に現れる「過去作との対話」
――本作では、ロージ監督の過去作や、ポンペイを舞台とした劇映画『イタリア旅行』(1953、ロベルト・ロッセリーニ)の映像が引用されます。こうしたアーカイブ映像を作中で使用されるのはなぜでしょうか。
ロージ 今回、ポンペイについての映像をたくさん鑑賞し、『イタリア旅行』をはじめ、そのいくつかを作品に取り入れたいと思ったのですが、どのように映画の中に組み込むかは悩みました。そんな時に見つけたのが、すでに閉鎖した映画館でした。この映画館は、「映画館」としてはもう終わりを迎えていても、そこにはさまざまな記憶が生きている。そう考えたことから、自作を含めた映像が、廃墟となった映画館で流れるという映像を組み込むことを決めました。
そうした手法のきっかけとなったのは、前作『旅するローマ教皇』(2022)の時でした。撮影において、「教皇が訪れたランペドゥーサ島(イタリア)やイラクはあなたが撮影した場所でもあるのだから、あなたの過去の映像を入れるべきだ」と配給会社の方からアドバイスを受けたんですね。もともと私は、かつて撮った作品を自作に組み入れることには多少の抵抗はあったのですが、『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』(2016)などのアーカイブ映像を用いたことで、結果的に映像を通した教皇と私の対話が生まれることにもなり、それは作品の可能性をより広げるものになったと思います。ですので、本作においても「過去作との対話」を踏襲させた感じですね。
『ポンペイ、雲の下に生きる』
監督・撮影・録音:ジャンフランコ・ロージ/2025年/イタリア/モノクロ/119 分/© 21UNO FILM SRL / STEMAL ENTERTAINMENT SRL 2025/配給:ビターズ・エンド/10/2(金)~Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

