民放ドラマ初主演作では…
テレビドラマで印象的なのは、やはり民放連続ドラマにおいて初主演作となった『今夜はコの字で』(BSテレ東、2020年/2022年)シリーズだろう。
同名漫画(原作・加藤ジャンプ、作画・土山しげる)の実写化で、コの字型のカウンターを構える実在の酒場を巡るグルメドラマだ。中村さんが演じたのは、タッチパネル式の居酒屋ばかりに行っていた吉岡(W主演の浅香航大)に“コの字”酒場の魅力を教える憧れの恵子先輩。美人で酒豪で気さくな彼女に、吉岡は密かな恋心を抱いている。
そう、中村さんといえば「きれいなお姉さん」なのである。「きれいなお姉さん」を演じたら、間違いなく5本の指に入る存在だ。その美しさは決して容姿だけの話ではなく、しなやかさの奥に確かな芯の強さを感じさせるところにもあった。大人の女性としての成熟や余裕まで含めて、中村さんの「きれいなお姉さん」は成立していたように思う。
近くにいそうな親しみや生活感がある一方で、どこか手の届かない美しさもある。その絶妙な佇まいが、どんな物語にもすっと馴染んだ。
キャリアウーマンはもちろん、母親やミステリアスな女性、若者の成長を見守る先輩、箱入り娘のお嬢様からデリヘル嬢まで。俳優とは、その身ひとつでどんな人間をも体現し得る存在なのだと、中村さんはあらためて教えてくれた。
40代に入り、恋愛ドラマで存在感を示した
そして、近年の中村さんの出演作を語るうえで欠かせないのが、Netflix『さよならのつづき』(2024年)と『匿名の恋人たち』(2025年)だ。「20代、30代の頃は恋愛ものをあまりやっていなくて。この歳になってそういう役が増えてるのは不思議」と本人も語っていたように、年齢を重ねてから、恋愛ドラマへの出演も急増した。
『さよならのつづき』は、恋人の雄介(生田斗真)を事故で失ったさえ子(有村架純)と、彼の心臓を移植された成瀬(坂口健太郎)の数奇な運命を描く。中村さんが演じたのは、成瀬の妻・ミキ。愛する夫の命が救われたことを喜ぶ一方で、移植された心臓が夫を別の女性へと引き寄せていく。あまりにも複雑な立場に置かれる女性だ。
『匿名の恋人たち』は、まさに中村さんらのアラフォー世代が中心となったロマンティック・ラブコメディ。小栗旬と韓国で国民的人気を誇るハン・ヒョジュ、そして日本のテレビドラマには18年ぶりの出演となった赤西仁とともに、物語の中心を担った。


