中村さん演じるアイリーンは、心理カウンセラーでありながら、自身も重度のアルコール依存症を抱えており、ひとたび酒をあおれば手がつけられなくなってしまう。赤西演じる寛から長年思いを寄せられているものの、アイリーン自身もなかなか素直になれず、大人同士のもどかしい恋模様を繰り広げた。

「色気がありすぎる」という理由から、二人のベッドシーンは本編でカットされたものの、ファンからの熱いリクエストを受けてYouTube限定で公開。その結果、169万回以上再生されている(2026年9月現在)。

 いま第一線で活躍する俳優たちが40代を迎え、その世代の恋愛や人生を描く作品がますます増えていくであろうなかで、中村さんは間違いなく重宝される俳優の一人だったはずだ。

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最後の出演作で見せた「人生の終わり」と向き合う姿

 そして、最後の連続テレビドラマ出演となった『終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―』(カンテレ・フジテレビ系、2025年10月放送)と、最後の映画出演作となった『平場の月』(2025年11月公開)。

 前者は遺品整理を通して、亡くなった人と残された人の思いを紡ぐ作品であり、後者は再会した中年男女の恋愛を描く物語だ。いずれも、人生の終わりや限りある時間と向き合う作品だった。

映画『平場の月』では大腸がんを患うヒロイン(井川遥)の妹を演じた(映画公式X@hirabanotsukiより)

 特に『平場の月』は印象的だった。中村さんが演じたのは、大腸がんで闘病する葉子(井川遥)の妹・道子。人知れず葉子が亡くなったことを知り、彼女が暮らしていた家へ駆けつけた青砥(あおと)(堺雅人)に、姉の病状や最期の日々を事細かに伝える役どころだったのである。

 当たり前のことかもしれないが、『終幕のロンド』にも『平場の月』にも、中村さん自身の体調や過去の病を重ね合わせるような素振りは一ミリもない。ただそこにあったのは、その役の人生を全うするプロの俳優としての姿だ。

中村ゆりさんのインスタグラム@yurinakamurawooriより

 久しぶりに『今夜はコの字で』を見返したら、Season2の第1話で、イタリアに行っていたはずの恵子先輩が、ふらっとコの字酒場に現れていた。私たちが作品に手を伸ばせば、いつだってその人に会える。それは、俳優という仕事の素晴らしさでもある。

 でも、あまりにも早すぎる中村さんとの別れに、どうしようもない寂しさを感じてしまうのだ。

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