選手を乗せたバスが違う会場へ向かい、迎えのバスは待てども来ない――愛知・名古屋アジア競技大会(アジア大会)で、選手やスタッフの輸送のトラブルが止まらない。
9月15日には、サッカーの韓国、カタール両代表を乗せたバスが野球場に向かったほか、20日には男子バスケットボール韓国代表も迎えのバスが来ず、日本との決勝前の練習を取りやめる事態に。28日にはバレーボール男子のパキスタン代表が別の会場に運ばれ、試合開始が45分遅れた。
パキスタンチームの主将は「日本でこんなことが起きるとは思わなかった」とSNSで不満を表明。バスが来ずに練習を取りやめたモンゴル女子バスケットボール代表の監督も、過去の国際大会では経験したことがないと批判し、大会組織委員会が謝罪を繰り返す事態に追い込まれている。
謝罪2日後にパキスタン代表の誤送が
組織委は当初、韓国チームへの配車漏れを「人的ミス」だと謝罪しながらも、宿泊や輸送は「基本的には正常に機能している」と堅持。だが問題が相次いだ9月26日には、「関係者が当初の想定を約2000人上回る1万7000人に膨らみ、対応が難しくなった」と説明し、「大会後半に向け改善を進める」と謝罪した。にもかかわらず、2日後の28日にもパキスタン代表の誤送が起きたのである。
一体、なぜここまで輸送は混乱してしまったのか。選手を含む大会関係者のバスの調達・運用・管理を請け負うのは、東武鉄道の100%子会社で、東武グループの主要な旅行会社でもある「東武トップツアーズ」だ。
輸送体制の機能不全が生々しく記録されていた
「週刊文春」は、相次ぐ混乱を受け、組織委の輸送チームと各競技の担当者が情報を共有するために急遽作成されたという連絡用チャットを入手。そこには、現場の悲鳴とともに、繰り返し改善を求めても同じミスが続く、輸送体制の機能不全が生々しく記録されていた。
組織委内にチャットが設けられたのは、9月17日。輸送担当者と各競技の担当者らが参加し、競技日程や宿泊先の変更に伴って修正されるバスの時刻表を随時共有する連絡の場のはずだった。
ところが、そこには〈バスが来ない〉〈変更が反映されない〉などの訴えや、〈激詰めが続いています〉〈現場は追い詰められている〉などの悲鳴が次々と書き込まれていた。
一連のトラブルの経緯や原因について、東武トップツアーズに見解を求めると、こう回答があった。
「大会の運営に関してのお問合せは、主催である大会組織委員会が窓口になっており、弊社からの個別のご回答は差し控えさせていただいております」
組織委にも見解を求めたが、期限までに回答はなかった。
組織委内のチャットには一体、どのようなことが書き込まれていたのか――。
現在配信中の「週刊文春 電子版」では、秋篠宮ご夫妻が観覧される試合での輸送トラブルや、様々な訴えや悲鳴が綴られた内部チャットの具体的な中身、東武トップツアーズの下請け会社関係者の証言などについて詳報している。


