勤務時間外のプライベートな活動を理由に、会社は社員を解雇できるのか。「副業解禁」の波が広がる今だからこそ知っておきたい法律知識を、弁護士・佐々木亮氏の著書『職場のトラブル即解決!あなたを守る労働法』(徳間書店)より抜粋して紹介する。(全4本の2本目)

◆◆◆

トラブルケース1:副業をしているのを理由に解雇された

 会社員ですが、副業として週に2回、塾教師をしていたのが会社に知られてしまい、解雇を通達されました。就業規則では副業について「禁止」という記載はありません。副業で本業がおろそかになっているとも思えません。それなのに解雇は厳しすぎませんか?

ADVERTISEMENT

写真はイメージ ©︎Trickster/イメージマート

解決策:副業しているだけでは解雇理由にはならない

 政府が副業を推進するなかで副業解禁の企業が増えていますが、禁止する企業も大企業を中心に数多く存在します。なかには届出制(事前申告)や許可制を採用し、競合企業での副業は機密漏洩のリスクを理由に許可しない企業もあります。

 企業は社員に対し、労働専念義務を根拠として、副業を禁止することができます。労働専念義務とは、雇用契約を結んだ労働者が就業時間中は事業主の指揮命令に従い、その職務の遂行に力を尽くすべきという義務を指します。そこで、その義務に基づいて副業禁止ができるというわけです。

 他方で、労働者は会社で拘束される時間以外は自由です。ですので、会社の勤務時間外に副業を行うことは、直ちに労働専念義務に反することにはなりません。

 ただし、就業規則などで副業が禁止されていれば、副業をすること自体が規則違反になります。この場合、それを理由に何らかの処分を科せられる可能性はありますが、ただ副業をしたというだけでは重い処分はできないでしょう。

 ましてや解雇はそう簡単にできるものではありません。解雇されれば労働者は収入が途絶え、生活に困るため、解雇には規制があるからです。

 このケースではどうでしょうか?

解雇は重すぎる処分

 就業規則には「副業禁止」との記載はないのでそもそも規則違反にはなりません。

 副業によって本業の遂行に支障をきたしていないのであれば、解雇する理由にはならないでしょう。

 仮に就業規則に副業禁止とあり、副業により健康を害する、遅刻や無断欠勤、ミスが度重なるなど本業に支障をきたすようなことがあれば、懲戒などの処分をされる可能性もあります。ただし、それでも解雇は重すぎる処分といえるでしょう。

 副業しているだけで即解雇は原則として認められません。しかし、後に説明しますが、副業先が競合他社で自社の機密を漏洩しているようなケースは競業避止義務違反となり、解雇もあり得ます。

 トラブルを防ぐために副業をする前に副業禁止か、届出制なのか、会社のルールをきちんと確認しておきましょう。