ベルリンなど国際映画祭で評価されながら、1997年の公開当時、わずか数日で打ち切りとなった台湾映画『逃亡者狂騒曲』。この忘れられた伝説的な作品が初めて日本で劇場公開される(デジタル・リマスター版の劇場公開は世界初)。実験的なスタイル、大胆で分裂的な映像言語を用いて、90年代の「台湾ニューシネマ」とは異なる、新たな台湾映画の姿を世界に示した作品を作り上げたのは、台湾CM界のレジェンドとして知られるワン・チャイシアン監督。本作の打ち切りとともに映画制作からは身を引いたワン監督に、製作から約30年を経ての日本公開を機にインタビューした。

ワン・チャイシアン監督

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ニューヨークに行くことを夢見るダンサー。夜はナイトクラブで働き、昼は恋人とまどろむ。昼夜が逆転した生活を送りながら、台北の雑踏の中を漂っている。まるで光に誘われる蛾のように。祭りの夜、爆竹とロケット花火の光が夜の街を照らし、男ははしゃぐ恋人の姿をビデオカメラで追う。男は雑踏の中で奇怪な殺人事件を目撃し、その一部始終をビデオカメラが捉えてしまう。謎の殺し屋に追われることになった男は、夜の街を疾走する逃亡者となる。
監督・脚本・撮影:ワン・チャイシアン/出演:チェン・ホンレン、ルー・シンユー、チェン・ジェイー、ホー・ジョンシアン/1997-2023年/台湾/83分/配給:Cinema Drifters・大福/©FOUNTAIN FILMS CO. All Rights Reserved./10月10日(土)より全国順次ロードショー

作った映画はまったく売れず、かなりのお金を失った

――この作品を作るまでずっと広告作品を撮ってきましたが、なぜ映画を撮ることになったのでしょうか?

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ワン・チャイシアン監督(以下、ワン) 長い間CMを撮ってきて、「自分なら映画も撮れるんじゃないか」と思い始めたんです。多少、虚栄心もあったかもしれません。「映画を撮れる監督こそ、本当の監督だ」と思っていたところもあった。でも、この挑戦によって、僕はたくさんの代償を払うことになりました(苦笑)。