そして、これはDNAだけの話ではない。久間氏の死刑執行後、遺族らは2度の再審請求をしている。

 第1次再審請求では、DNA型鑑定の信用性が争われた。福岡地裁はDNA以外の証拠からも久間氏を犯人と認められるとして、再審を認めなかった。高裁、最高裁でも結論は変わらなかった。

 では、その「ほかの証拠」はどうなのか。第2次再審請求では、女児2人を最後に見たとされる女性が「記憶と異なる調書を作成された」と証言した。弁護側が事件直後の捜査報告書を求めると、検察側は調査の結果、該当するものはないと説明した。

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 DNAを検証したい。しかし、元の試料はない。目撃証言を検証したい。しかし、事件直後の捜査報告書もないという。第2次再審請求は福岡地裁、福岡高裁とも退け、現在は最高裁に特別抗告している。

「新証拠」として3回目の再審請求を行うことが明らかに

 その最中に、今回のNHKで新たなDNA検証が紹介された。

 そして9月24日、弁護団が、この新たな鑑定結果を「新証拠」として3回目の再審請求を行うことが明らかになった。

 飯塚事件の記事を読み続けていると、問われているのは個々の証拠だけではないと思えてくる。  

 取り返しのつかない死刑を執行したあとに重大な疑問が出てきたとき、本当に検証し尽くせる仕組みになっているのか。

 そのためにも、必要な証拠が開示されることは重要だ。再審での証拠開示は、制度見直しの大きな論点にもなっている。

 西日本新聞は、自分たちがかつて書いた記事をもう一度検証した。『正義の行方』は、その検証する人々を記録した。そして今回、清水潔氏とNHK取材班は、30年以上前のDNA型鑑定をもう一度検証した。

清水潔氏の著書『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』

 検証する人はいる。では、検証できる仕組みはあるのか。

 私は『正義の行方』のパンフレットにこう書いた。「今も検証取材は『継続』している。終わっていないからである」。

 あれから2年。本当に、終わっていなかった。

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