役を作るための「リアル」への向き合い方
――それぞれ、役作りで特に印象に残っていることを教えてください。
大泉:やはり2026年の箱根駅伝を2日間、サブコン(副調整室)を見学させていただいたことに尽きます。実際にプロデューサーがどんな動きをするのか、中継している皆さんの雰囲気を自分がどれだけ取り入れられるか、ずっと意識して見ていました。中継が終わった瞬間にどんなふうに席を立つのか、そんな細かいところまで。スポーツ局のプロデューサーの方々がほぼつきっきりでサブコンにいてくれたので、スイッチの押し方からモニターの見方まで、とにかく細かく聞きました。
伊藤:ほぼ同じです(笑)。それに加えて、センターディレクターの声が入っている「Dボイス」というものがあって、センターディレクターがどういう指示を出しているか、どんなテンションで現場を仕切っているかまで聞くことができました。長い歴史の中で積み上げられてきた資料も多くて、そこから受け取れるたすきのようなものがあって、本当に役作りのヒントになりました。
山下:僕は青山学院大学の原晋監督にお会いさせていただく機会があって、その哲学を含めていろいろと教えていただきました。それをなるべく甲斐という役を通して出せたらいいなと。あとは学生たちの合宿の風景を実際に見せていただいたりして、そういったものを体感できたことが、甲斐を作る上でとても大きかったです。
――この作品を通じて視聴者に届けたいメッセージをお願いします。
大泉:テレビ局側を演じている立場からお伝えしたいのは、中継スタッフの皆さんが本当に「この箱根駅伝は学生たちのもの、選手たちのもの」という思いで中継されているということです。少しでもまだ映っていない学校があれば映してあげたい、その学校の情報をなるべく伝えてあげたい。そのひたむきな思いを、ドラマの中でも出せればと思っています。
たとえば中継中にCMの入れどころだけでも本当にスリリングで……CM中にチームの順位が入れ替わることをなるべく避けたくて、そのあたりの舞台裏もドラマの中に描かれますので、楽しみにしていてください。
伊藤:テレビ局側のスタッフが何を信念として、どんなアプローチで走者たちに向き合っているか。その裏側も楽しんでいただきたいですし、たくさんの熱い気持ちが重なって、ひとつの箱根駅伝というものが届けられているんだということを感じていただけたらうれしいです。
山下:僕はシンプルで申し訳ないんですけど、「必死に生きることってかっこいい」ということを、この現場で教わったと感じています。僕自身も現場に立たせてもらいながら、もっと頑張ろうと本当に思いました。実際、走るのが苦手だったんですが、最近走り始めています(笑)。誰かが必死に生きている姿からもらえるものって、すごく大きいんだなと。見ていただく方にも、何か感じ取ってもらえたらありがたいです。
日本テレビ系連続ドラマ『俺たちの箱根駅伝』は10月10日から毎週土曜日よる9時から放送
※このインタビューの初出は「本の話」WEB(10月8日)です。
