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日本ハム・アルシアに言いたくても言えなかった言葉

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/10/22

右太ももでバットを真っ二つに

 体が頑丈です。自分にいら立ち、空振りの三振でアウトになった瞬間にバキッとバットを折る姿を最初に見たのは3月24日。そういうの久しぶりだったので、きちんとメモしてました。右太ももで真っ二つに。感情的になった彼でしたが、その日のうちに反省。「すごく悔しくて折ってしまった。でもいいことではない。そういうことはもうしないようにしたい」と栗山監督に謝ったそうです。

 それからは何度も、「あ! いま折りたいと思ってるでしょ!」という瞬間がありましたが、アルシア選手はぐっと我慢していました。段々とその我慢の表情としぐさがめんこく(かわいらしく)見えるようになってきました。内角を攻められるのでどうしても死球も多くなりましたが、それにはぜんぜん怒ったりしません。

 仲間の好プレーにはこれでもかというほどのオーバーアクションで喜びます。ベンチではいつも楽しそうに大きな体を揺らしていました。怪我や不振で2軍に行くこともありました。レギュラーに定着とはなりませんでした。チームからの期待の役割を果たせていないことは彼が一番に感じていたんだろうと思います。ずっと我慢してきたのに、三振して太ももでバットをへし折ってしまったのは、シーズン終了間際の10月3日のライオンズ戦でした。

 彼は何も言わずに帰っていきました。私たちに残ったのは、スポーツ紙に踊る「退団濃厚」の文字。

 Está comenzando a practicar. 練習始まってますよ

 もう言う機会はないだろうけど、ちょっと口に出してみる。

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