ウェンディに対してジェナ=リサは今も泣かずには語れないほどの罪悪感を抱いている。しかしウェンディはジェナ=リサを責めず、エプスタインへの糾弾をジェナ=リサだけにやらせてはいけないと、自らも身元を明かして被害体験を語り、エプスタイン・ファイルの公開を求めている。
「誰か自分を愛してくれる人が欲しかった」
ニューヨークの少女たちもフロリダの少女たちと同じく、「友だちに誘われて」エプスタイン邸を訪れている。
マリーナ・ラセルダもSoft White Underbelly(2026年3月14日更新)で生い立ちとエプスタインとの出会いを語っている。マリーナは、ニューヨーク市の中でも移民の多いクイーンズ区に住んでいた。
ブラジル生まれの彼女は、8歳の時に、先にニューヨークに移住していた母親と暮らすために渡米。実父については詳細不明だが、当時独身だった母親は渡米後に再婚しており、マリーナはその継父から性加害を受け続けた。
14歳の時に同じく移民である友だちに声を掛けられ、マリーナはエプスタインの邸宅を訪れている。以後、エプスタイン邸には3年ほど通ったが、17歳で「成長し過ぎた」と言われ、お払い箱となった。
マリーナは、当時は母親と共に非正規移民であり、経済的に困窮して現金が必要だったことに加え、「誰か自分を愛してくれる人が欲しかった」と、その頃の心境を先のインタビューで語っている。
PTSDにうつ、麻薬……彼女たちの「その後」
親を頼れる家庭環境にあったサバイバーの中には、親に電話をかけて迎えに来るよう頼み、二度とパームビーチやニューヨークに戻らなかった女性もいる。
さらにはキャリアを邁進し、社会的、経済的に成功を掴んでいる女性もいる。しかし、生育環境や家庭環境に問題を抱えた少女たちは、「鎖で繋がれているわけでもないのに」エプスタインの元に戻っていったのだった。
とはいえ、暴行の回数や期間、家庭の経済階層にかかわらず、多くのサバイバーがPTSDやうつなど精神疾患を抱え、アルコールや麻薬に溺れ、学校をドロップアウトしたことから就職も困難になった。さらに結婚相手に妻を虐待する男を選んでしまい、苦労の末に離婚した女性もいる。
エプスタインからの性加害によって健全な性の概念を育むことができず、かつ極度の貧困状態にもあったジェナ=リサは、その後も長年にわたって人生のあらゆる辛酸を嘗めることとなる。
ジェナ=リサ同様に崩壊家庭に育ったウェンディも、エプスタインの犠牲となったことで人生を完全に踏み外し、一時は刑務所に入ることとなった。
マリーナも結婚後に夫からDVを受け、抗うつ剤を飲むうちに中毒死しかけたこともあった。
しかしマリーナ、ジェナ=リサ、ウェンディはそれぞれ長い時間をかけて立ち直り、今は母親となっている。自分と同じ体験をした女性を勇気づけたいという思いから、現在はポッドキャストで語り、同時にメディアに出てエプスタイン・ファイルの公開を訴えている。
この3人に限らず、娘を産んだサバイバーには娘に自分と同じ体験をさせるわけにはいかないという強い思いがあり、それが身元を明かしての告発の動機となっている。

