数学教師から金融界に進出し、巨万の富を手にしたジェフリー・エプスタインが、各地で少女や若い女性をレイプし続けた史上最悪の性犯罪「エプスタイン事件」。被害者であるヴァージニア・ジュフレイの告発をきっかけに、彼と親交のあった世界的なセレブたちが次々と批判されることになった。

 その中でも最も象徴的なケースが、イギリスのアンドリュー元王子こと、現在のアンドリュー・マウントバッテン=ウィンザーである。自分の娘とほとんど年齢の違わない「当時の少女」が訴えた、その告発の内容とは――。在米ライター・堂本かおる氏による『エプスタイン事件 世紀の暗黒スキャンダルの全貌』より、一部を抜粋して紹介する。

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ジュフレイ(中央)と並ぶアンドリュー元王子(左)。右端がエプスタインの恋人で少女たちをリクルートしていたギレーヌ・マクスウェル ©AFP=時事

 エプスタインの被害者の一人、ヴァージニア・ジュフレイはマウントバッテン=ウィンザーから性虐待を受けたとして2021年に訴訟を起こしている。

 ジュフレイは17歳の時にエプスタインとマクスウェルによってマウントバッテン=ウィンザーに引き合わされ、ロンドン、ニューヨーク、エプスタイン島の3カ所で性行為を強いられたと主張。

 対するマウントバッテン=ウィンザーは、ジュフレイに会った記憶はないと彼女の主張を否定。ジュフレイ、マクスウェルとの3人で写っているスナップ写真については「偽造された可能性がある」と発言している。

 しかし翌2022年、彼は告発内容を否定しながらも示談に応じた。金額非公開の和解金に加え、「被害者の権利を支援するジュフレイ氏の慈善団体に多額の寄付をおこなう」条項にも合意した。

「ジェフリーに対してやっているのと同じことを彼にもしなさい」

 アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザーは故エリザベス女王の第3子。生前のエリザベス女王は上記の訴訟中にアンドリュー王子の軍の名誉職と慈善団体などのパトロンの役職を剥奪し、「殿下」の敬称を使用不可とし、公務を他の王室メンバーに引き継がせると発表した。

 決定に先立ち、女王は150人以上の退役軍人からの要請書簡を受け取っている。女王はその8カ月後に他界し、女王の長子でマウントバッテン=ウィンザーの兄であるチャールズ3世が国王となった。

 2025年4月にジュフレイが自ら命を絶ったその半年後、ジュフレイの回顧録『Nobody’s Girl』が出版されると、そこに記されている内容からマウントバッテン=ウィンザーへの批判が強まった。回顧録には2001年にジュフレイがアンドリュー王子のためにロンドンに連れて行かれた際の描写がある。

 17歳だったジュフレイはマクスウェルから「ジェフリーに対してやっているのと同じことを彼にもしなさい」と命じられ、事後、ジュフレイはエプスタインから1万5000ドルの報酬を渡された(報酬を払ったのがアンドリューだったかは不明)。

「私の娘たちは君よりちょっとだけ年下だ」

 当時41歳のアンドリューは「私の娘たちは君よりちょっとだけ年下だ」と話していたという。

 12月1日、チャールズ国王はアンドリュー王子から王子の称号を剥奪した。この時点でかつての「ヨーク公爵アンドリュー王子」は私人のアンドリュー・マウントバッテン=ウィンザーとなった。国王はさらにウィンザー城にある邸宅ロイヤルロッジからの退去も命じた。

 加えて、2026年1月に大量のエプスタイン・ファイルが公開されると、王子時代に英国の通商特使であったマウントバッテン=ウィンザーが、エプスタインに機密書類を渡していた容疑が発覚。

 平行して英国の駐米大使であったピーター・マンデルソンもエプスタインとの繋がりが露見し、のちに逮捕されている。英国のキア・スターマー首相(当時)はマンデルソンを駐米大使に任命した責任を問われ、辞任もささやかれるまでに追い詰められた。

 こうした事情を受け、2026年2月9日にはウィリアム皇太子と妻のキャサリン妃も事態を「深く懸念している」との声明を発表した。