数学教師から金融界に進出し、巨万の富を手にしたジェフリー・エプスタインが、各地で少女や若い女性をレイプし続けた史上最悪の性犯罪「エプスタイン事件」。今もアメリカ社会を大きく揺るがしているこの事件は、彼の世界中のネットワークを駆使しながら行われ、長くその実態が明るみに出ることはなかった。
この悪行を暴く大きなきっかけとなったのが、ひとりの被害者女性の告発だった。彼女はなぜ事件に巻き込まれることになり、そしてどのように立ち向かったのか。在米ライター・堂本かおる氏による『エプスタイン事件 世紀の暗黒スキャンダルの全貌』より、一部を抜粋して紹介する。
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米国司法省は、エプスタインの被害者は1000人を超えると見積もっている。その中から幾人もの女性が声を上げたが、最も果敢にエプスタインと共犯者たちを告発したのが、ヴァージニア・ジュフレイだった。
彼女は16歳でエプスタインから性虐待を受けた。フロリダとニューヨークの邸宅だけでなく、カリブ海にあるエプスタインのプライベート・アイランドやヨーロッパにも連れて行かれ、他の著名人に貸し出されることもあった。
だが19歳となったジュフレイは意を決してエプスタインの元を抜け出し、やがて加害者たちへの告発を始めた。2009年から16年間にわたって闘ったジュフレイだが、2025年4月、オーストラリアの自宅で自らの命を絶った。
「マッサージ師を探しているから今夜、面接に来ない?」
ジュフレイは1983年生まれ、フロリダ州で育っている。7歳で家族の友人に性虐待を受け、荒んだ家庭環境に耐えられず12歳で家出。一時期、セックス・トラフィッカー(=性的人身売買を行う人物)とも暮らしたが、14歳で自宅に戻っている。
16歳になったジュフレイは、トランプがフロリダ州に所有する別荘・マールアラーゴにあるリゾートホテル形式の会員制のスパのロッカールーム係員として働くこととなった。
それまで見たことのない、その高級な雰囲気に息を呑み、そこで働くプロのマッサージ・セラピストを見た彼女は自分もその職業を目指したいと夢見るようになった。ちなみに、トランプは大統領1期目の在任中、私邸の住所をニューヨークのトランプ・タワーからマールアラーゴに移している。
エプスタインの恋人であり、エプスタインのために少女のリクルーターを務めていたマクスウェルは、エプスタインとの共通の友人であるトランプが所有するマールアラーゴにも出入りしていた。エプスタイン邸とマールアラーゴは車でわずか5分程度の距離だ。
ある日、マクスウェルはマッサージ・セラピーの本を読んでいたジュフレイに目をつけ、「マッサージ師を探しているから今夜、面接に来ない?」と声を掛けた。
マクスウェルの親身な態度を信じ、夢をかなえる絶好のチャンスだと思ったジュフレイを待っていたのは、全裸で横たわる当時47歳のエプスタインだった。

