千早 小説はどんなに醜いものでも美しく書けてしまうんです。それは人間の価値観を狂わせてしまう危険性も孕んでいますが、それでも私は自分が美しいと思えないものは書きたくない。私たちはそれぞれの方法で、心を動かされたものを残しているのかもしれませんね。

三島 私も自分にとって美しいと思うものを描きたいですね。共感がなかったとしても、無様でかっこ悪くても、必死に生きようとする人の姿が美しく見えます。これからも、そうした人間の人生を映像に刻んでいけたらと思っています。

映画『男ともだち』©2026『男ともだち』製作委員会

ちはや・あかね 1979年北海道生まれ。2008年『魚神』でデビュー。09年同作にて第37回泉鏡花文学賞、13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、23年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞。小説、エッセイなど著書多数。近作に『燻る骨の香り』『しろとくろの偏愛』(いずれも26年)など。

みしま・ゆきこ 1969年大阪府生まれ。NHKで番組制作に携わった後、独立。『幼な子われらに生まれ』(2017年)で第41回モントリオール世界映画祭審査員特別大賞、第42回報知映画賞監督賞など多数の映画賞を受賞。『Red』(20年)で第9回シアトル映画祭最優秀作品賞を受賞。近作に『一月の声に歓びを刻め』(24年)など。

構成:相澤洋美
ヘアメイク:金岡沙梨奈(千早茜)、堀川知佳(三島有紀子)

『男ともだち』
京都に暮らすイラストレーター、神名(松岡茉優)。30歳を目前にした彼女は人生に静かな行き詰まりを感じていた。仕事もプライベートも順調に見えるが、描きたいものを見失い、惰性や不毛な恋愛に逃げる日々を送っていた。そんなある日、大学時代の先輩・ハセオ(成田凌)から突然電話がかかってくる。昔から自分勝手で人間関係に不器用な神名だったが、出会った頃からなぜか深く理解をしてくれる“男ともだち”と7年ぶりに再会。京都、富山、広島──ふたりで過ごす“3つの夜”が彼女の運命を大きく変えていく……。
監督:三島有紀子/原作:千早茜『男ともだち』(文春文庫)/出演:松岡茉優、成田凌、井上祐貴、中島歩、咲妃みゆ、三浦貴大、余貴美子、池畑慎之介/2026年/日本/131分/配給:ハピネットファントム・スタジオ/©2026『男ともだち』製作委員会/11月6日(金)よりロードショー

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