まるで松本清張の世界

 売店で人魚グッズを捜したが、なくて“人魚の涙”という香水? を買った。

 次に向かったのは『ロイヤルホテル小林』。このホテル前にも人魚像がいるのだ。時折、激しい風に雪が舞い“一体、僕はここで何をしてるんだろう?”と、不安な気持ちになったが、そこは「不安タスティック!!」と、己れを励まし、足を進めた。2体目を撮影(③)。

撮影:みうらじゅん

 さらに辺りはどんよりしてきた。こんな時期に来るんじゃなかったと思ったが、怯んでいる場合ではない。もう1体、どーしても見ておきたい人魚像があるのだ。しかし、その像の立つ鵜の浜海岸にどうしたら出られるか分からない。地元の人に聞けばいいのだが、カラスしか道にはいない。靴下までビショビショにしてウロウロしてると、高い木の柵を発見。透き間から入ってみると遂に出た。波が荒れ狂う日本海はまるで松本清張の世界だった。

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 人魚像は海に背を向け厨子のようなものの中に収まってた。それでも全身びっしょり。人間に裏切られた人魚の物語『赤い蝋燭と人魚』。この人魚像の表情もとても悲しく見えた(④)。

(『ロイヤルホテル小林は2025年11月30日閉館)

撮影:みうらじゅん

ファンタ爺のめざめ

みうらじゅん

文藝春秋

2026年11月5日 発売

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