10月22日、元首相の福田康夫氏(90)が死去した。福田氏は月刊「文藝春秋」に度々登場。2023年8月号では、総務省の行政文書について当時の高市早苗・経済安全保障担当相が「全くの捏造」と発言した問題に関連し、公文書管理の状況に苦言を呈していた。

 福田氏、自民党幹事長代理(肩書きは当時、以下同)の上川陽子氏、読売新聞グループ本社会長の老川祥一氏、国立公文書館館長の鎌田薫氏、前国立公文書館館長の加藤丈夫氏の座談会「公文書を守れ!」から一部紹介します。

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「官邸の資料は全部ご自宅に持ち帰ってください」

 福田 私が公文書の重要性に目覚めたきっかけは、まだサラリーマンだった頃、地元群馬県の小学校から「地元の街が戦争で焼け野原になった頃の写真がないか」とお尋ねがあったことでした。しかし、日本国内にはなかった。すると知人から「ワシントンのアーカイブスに行ってみたら?」と助言され、実際に探してもらったら、何枚もの空撮写真を手に入れることができた。もう、あっという間(笑)。

 アメリカ国内だけでなく、敵国の都市の写真もきちんと保管し、それを一般人でも簡単に入手できる。民主主義国家の真髄を見たような思いで、こういう制度と施設が日本にもほしいと思ったのです。

この座談会の冒頭で福田康夫氏は、政治家が行政文書を捏造と決めつけることは「とんでもない事件」と苦言を呈した ©文藝春秋

 その後、官房長官となり、研究会や議員連盟をつくって新しい公文書館づくりに取り組むことにしました。そこで初めて公文書管理についての法律がないと知ってびっくりしたものです。総理になって上川さんに白羽の矢を立てたのは……真面目でね。真面目が大事です。

 上川 もっと詳しく聞きたいです(笑)。

 加藤 あの頃、福田さんは「これは選挙で票にならないけど」と、よくおっしゃっていた。

 福田 そう、僕は票にならないことばかりしてた(笑)。