生きることは学ぶことなんだ
映画の終盤で主人公が、自身の決意を黒板に書く。「生きることは学ぶこと。人との出会い」。この言葉は、角川春樹自身の思いでもあった。
「私が脳梗塞で倒れた時、救急病院で、家族の前で遺言まで言わされる、そういう状態で入院しました。つまり助かる可能性は少なかったんですね。そのなかで生き抜いて、リハビリもやって、今年10月の舞台あいさつに立ちました。その間に感じていたことが、まさに『生きることは学ぶことなんだ、その学びの一番大きなことは、人との出会いである』だったんです。それが寝ている時にシナリオやいくつものシーンとともに降りてきた。そうした言葉の数々が『星の教室』という映画になっていったんですよ」
本作を「最後の総監督作品」と宣言しているが、果たして本当に角川春樹は、これが最後の映画作品だと考えているのだろうか。
「総監督としての最後であって、映画は最後だとは思っていません。製作者として何をやるかは決めていませんが、この先も若い監督で新たな映画を作りたいと思っています」
かどかわ・はるき 1942年、富山県生まれ。プロデューサー、実業家、俳人。1976年の『犬神家の一族』を皮切りに角川映画を始動させ、数々の大ヒット作を製作。メディアミックス戦略を確立し、日本の出版界・映画界に革命をもたらした。映画監督としても『汚れた英雄』(82年)や『みをつくし料理帖』(20年)などの作品を手掛ける。現在も株式会社角川春樹事務所の代表取締役社長として辣腕を振るっている。
STORY
2001年1月、大阪の下町。潤間さやか(桜田ひより)はレンタルビデオ店の店長・緒方(原田泰造)から、履歴書の提出を求められる。彼女は中学時代にいじめが原因で不登校となり、中学の卒業証書を受け取らないまま、生きづらさを抱えていた。さやかが夜間学級が開かれている中学校の周りをさまよっていると、夜間中学の生徒・山西蕗子(浅野温子)から半ば強引に中へ誘われる。そこで目にしたのは、年齢も国籍もバラバラな生徒たちが、校庭で夜空を見上げながら歌う、幸せそうな姿。学校に行けなかったのは自分だけではない……そう考えたさやかは、夜間中学に入学し、先生やクラスメイトに支えられながら新しい道に歩みを進める。
STAFF & CAST
監督:中川龍太郎/総監督・製作:角川春樹/原作:髙田郁『星の教室』(角川春樹事務所)/出演:桜田ひより、仙道敦子、萩原聖人、小林虎之介、三戸なつめ、甲本雅裕、おいでやす小田、原田泰造、真木よう子、小泉孝太郎、中尾ミエ、浅野温子、山本學/配給:フライフリーエンターテイメント・NAKACHIKA/2026年11月6日より全国公開/©2026映画「星の教室」製作委員会
取材・文 馬飼野元宏
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。
次のページ 写真ページはこちら

