外資系コンサルティング会社に勤務しながら、アイドルを目指して芸能事務所に所属するトランス女性、さらしな叶夏さん(22)。インフルエンサーとしても活動する彼女が、幼い頃から抱えていた性の違和感、親との衝突や学校生活での苦悩について語った。
さらしなさんが自身を女の子だと認識したのは3歳の時だったという。幼稚園では仲良くなるのは女の子ばかりで、遊びもおままごとを好んだ。当時から、いわゆる「男の子」がする遊びとは違うことをしている自覚があり、自身の体にも違和感を抱いていた。体操服が男子は緑、女子はピンクと分けられていることに抵抗を感じ、「緑の体操服は着たくなかった」と振り返る。
しかし、その感覚は家庭では受け入れられなかった。保守的で体裁を気にするタイプの両親、特に母親は厳しく、ランドセルは黒、制服は男子用以外を許さなかった。
さらしなさんが「女の子のほうがいい」「スカートが穿きたい」と訴えても、一度も聞き入れられることはなかった。おもちゃも、本心では「プリキュアのキラキラステッキがすごく欲しかった」にもかかわらず、買ってもらえたのはいつもプラレールだったという。ランドセル選びでは黒が嫌で母親をパンチした記憶もあるが、力の差で願いがかなうことはなかった。
プールに放り投げられたトラウマも…
幼稚園までは男女の区別が曖昧だったため、まだ決定的な苦しみには至らなかった。だが、小学校に上がると状況は一変する。トイレも着替えも男女で明確に分けられ、自身の感覚とのギャップに苦しむ日々が始まった。
特に耐えがたかったのがプールの授業である。男子用の水着がパンツだけだったことに耐えられず、1年生の最初の授業に1回参加したきり、その後はずっと休んだ。その決定的なきっかけとなったのは、ある教師の行動だった。もともと水が苦手だったさらしなさんがプールサイドで泣いていると、スパルタな教師は彼女を抱きかかえ、プールに放り投げたのである。
この出来事がトラウマとなり、「もうプールの授業には絶対に出ない」と固く決意。その日は授業後にパニックのあまり学校から脱走し、近くの山へ逃げ込むという事件にまで発展した。教師に見つかり連れ戻されたが、これを機にプールの授業には出なくてよくなったという。
学校側も彼女の苦悩に気づいていた節がある。体育の着替えは1年生の時から個室が用意され、男子トイレの利用を嫌がった際には教員用のトイレを使うことが公認された。1年生から6年生まで、担任はずっと女性の先生だったという。
それでも、周囲との軋轢が消えることはなかった。
小学6年生のころ、クラスが学級崩壊に陥るなかでいじめの標的となる。きっかけは、日常のささいな一言だった。女性的な仕草に加え、「かわいくなりたい」という口癖や、女子の友人と「しまむらにかわいい服があったら着たいよね」と話していたのを男子に盗み聞きされ、「ひろくん、オカマなの?」とからかわれるようになった。
地元で過ごした日々のことを、さらしなさんは「18年間まるごと、本当につまらなかった」と振り返る。そんな“暗黒”の子ども時代を過ごしたさらしなさんだったが、高校時代にできた彼氏の存在が、その後の人生を大きく変えていくことになる。
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