1ページ目から読む
2/3ページ目

与野党協議以前に、与党協議でつまづき

山口那津男 公明党代表
「国民の理解をともなっていくこと、議論が成熟していくこと、そういう進め方を望んでいる」

FNN PRIME 10月11日

山口那津男氏 ©文藝春秋

 憲法改正に反対しているのは野党だけではない。与党として自民党と協力体制を敷いているはずの公明党は、憲法改正から徹底的に距離を置いている。

 今年1月には「まだ議論が十分に深まっている状況ではない。各党がそれぞれの考え方を深めて、国会に反映させていくことが重要だ」「単に数字の上での過半数ではなく、十分な国民の理解、議論の成熟をもたらさなければならない」(産経ニュース 1月7日)と語っていた山口代表だが、9月には「(首相は)新聞のインタビューで『首相、政府が憲法改正案を発議する立場にはない』と明確に述べている」と憲法改正に意欲を示す安倍首相に不快感を表明(産経ニュース 9月3日)。総裁選後には安倍首相の事前協議の提案を「公明党とだけ調整を先行して、出すことは考えていない」と否定している(毎日新聞 9月21日)。与野党協議どころか、与党協議すらできない状態だ。

ADVERTISEMENT

「国会で国会で憲法改正の審議を進めないのは怠業」という論理

安倍晋三 首相
「国民には貴重な一票を行使していただきたい。国民が(憲法改正の是非を問う)国民投票をする権利を奪うことは、国会のサボタージュ(怠業)となる」

産経新聞 9月2日

 9月1日、産経新聞の単独インタビューに答えた安倍首相は、あらためて憲法改正への強い意欲を語った。国会で憲法改正の審議を進めなければ、国民は固有の権利を行使できない。それは国会ならびに国会議員の「サボタージュ(怠業)」だという主張である。

 とはいえ、NHKが今年行った「憲法に関する意識調査2018」では、「いま憲法改正議論を進めるべきか? ほかの問題を優先すべきか?」という質問に対し、「憲法以外の問題に優先して取り組むべき」が68%にのぼり、「憲法改正の議論を進めるべき」は19%にとどまった。自民党支持層に限っても、前者が54%を占める。国民の多くは、今、憲法改正しなくてもいいんじゃない? と思っているようだ。

玉木雄一郎氏 ©文藝春秋

 国民民主党の玉木雄一郎代表は「憲法改正は主権者である国民の総意で『変えたい』と思っている部分を変えるべきで、権力者の都合で変えるものではありません」と安倍首相の改憲スケジュールを批判しているが(AERA dot. 9月29日)、もっと国民の側が「貴重な一票を行使したい」と思うようになってから憲法改正の議論を進めてもいいんじゃないだろうか。