大島理森 自民党・衆院議長
「憲法は一般の法律とは違い、法律の基本だ。できるだけの合意形成をつくりながら、進めていかなければならない」
産経ニュース 10月6日
自民党内からも慎重な声が相次いでいる。大島理森衆院議長は、憲法改正の論議について丁寧に手順を踏むべきだと注文をつけた。大島氏は今年7月、相次ぐ政権不祥事が問題となった通常国会を振り返り、「民主主義の根幹を揺るがす問題だ。立法府の判断を誤らせる恐れがある」として、安倍政権に反省と改善を促す異例の所感を公表した(Web東奥 7月31日)。それからまだ2、3か月しか経っていない。
「安倍晋三が嫌だとかではなくて、議論すべきは、憲法のどの条文をどういう必要性があって変えるかということのみだ」と安倍首相は訴えているが(産経ニュース 9月2日)、まずは議論できる環境をつくっていくのが先決だ。そのためには数々の政権不祥事をクリアにすべきである。
小泉元首相、改憲を急ぐ安倍首相を批判するも……
小泉純一郎 元首相
「来年、憲法改正なんて無理だよ」
FNN PRIME 10月11日
10日夜、山崎拓元自民党副総裁、武部勤元幹事長、中谷元元防衛相らと会合を開いた小泉元首相は、報道陣に向かって「憲法改正なんて無理だよ」と言い放った。ほかにも「野党の反対があるのに自民党だけで進めていい問題ではない。自民党の党是だから主張はいいが現実の国会で通すのは別問題だ」とも語っている(NHK NEWS WEB 10月11日)。
小泉氏は8日に収録されたBS番組でも「改憲は選挙の争点にしてはならない。野党第一党と協力して『まあこの辺がよいだろう』というふうにしなければならない。自民党だけで選挙の争点にしたら、絶対にできない」と発言。その上で小泉氏は、安倍首相が決断すれば「原発ゼロ」が実現可能だと主張し、「やればできることをやらず、できもしないことをやろうとしているのは分からない」「感度が鈍いのか、判断力が悪いのか。不思議だ」と疑問を呈した(産経ニュース 10月8日)。
なお、小泉氏は首相だった頃には「(自衛隊が)憲法違反といわれないような憲法を持ったほうがよい」「今後、集団自衛権を行使できるというなら、憲法改正をした方が望ましい」などと発言(しんぶん赤旗 2003年8月27日)。2005年11月には自民党の第一次憲法改正草案をまとめるよう指示を出している。また、2004年2月には「憲法改正は時流だ」とも発言していた(産経新聞 2004年12月8日)。小泉氏から見たとき、今は「憲法改正の時流ではない」ということなのだろう。
ジャーナリストの田原総一朗氏は、憲法改正は実現できないのではないかとみる。総裁選で党員の支持が5割強だったことと不景気と消費増税で安倍政権への支持率が低下することを挙げた上で、「もし国民投票で反対票が多かったら、安倍内閣は崩壊する。いまの情勢では、国民投票を実施するのは難しいだろう」と語った(BLOGOS 9月30日)。安倍首相はこのまま強行するのか、はたして……。