自民党総裁連続3期目となる安倍晋三首相の宿願が憲法改正だ。憲法改正に向けて歩を進める中で、関連する発言も増えてきた。あらためてまとめてみたい。

©時事通信社

安倍晋三 首相
「国会の第一党である自由民主党がリーダーシップをとって次の国会での改正案提出を目指していくべきと考えている。その後のスケジュールは国会次第で、予断を持つことはできない」

FNN PRIME 10月9日

 今回の自民党人事は、安倍首相の憲法改正に向けた強い意欲が表れたものだ。憲法改正推進本部長に自らの側近であり、憲法改正に対する考え方の近い下村博文氏、総裁特別補佐に稲田朋美氏、自民党の改憲案を諮(はか)る総務会を仕切る総務会長に、安倍首相の信任が厚い加藤勝信氏を据えている。

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 さらに衆院憲法審査会では、筆頭幹事に安倍首相と思想信条が近い新藤義孝氏、参院憲法審査会の幹事は強気な国会運営で知られる石井準一筆頭副幹事長を起用する方針だという(時事ドットコムニュース 10月11日)。

 改正憲法を2020年から施行したいと考えている安倍首相は、10月2日の新体制発足会見で改憲スケジュールについて「予断を持つことはできない」と強調。来年通常国会の会期末までに国会発議にこぎつけたい考えとの意向を示していた。

首相周辺は改憲に強気も、発言は“トーンダウン”

 しかし、翌日の自民党の高村正彦前副総裁との会談では、臨時国会に自民党がまとめた「自衛隊の明記」「大災害など緊急事態の対応」「教育を受ける機会の確保など、教育の充実強化」「参議院の合区解消」という改憲4項目を提示し、説明するにとどめると“トーンダウン”した(時事ドットコムニュース 10月3日)。

 首相周辺からは「安倍政権の最終章は、憲法改正だ」「公明党も野党も、意外と賛同する人は多いんじゃないの」などと強気な声も聞こえてくるというが(FNN PRIME 10月11日)、野党側の反発は激しい。

 共産党の志位和夫委員長は自民党の新体制について「憲法改定を力づくでやろうという布陣だ」と反発。国民民主党の大塚耕平参院議員会長は「政党が独自案を提出するのではなく、審査会で練り上げるのが筋だ」と指摘した(時事ドットコムニュース 10月11日)。社民党の又市征治党首は「立憲主義を踏みにじっている人たちとの議論には乗れない」と明言している(東京新聞 10月5日)。