「サエない兄ちゃんがすごく愛しい」

 そんな気持ちにさせてくれるドラマがある。『あの頃。』っていう映画がまさにそれだった。ハロプロオタクの兄ちゃんたちのサエない日常。主演が松坂桃李で松坂桃李なのにきっちりサエないのもよかったが、私がいちばんグッときたのが「性格悪いが憎めない小男」の仲野太賀で、松坂桃李がふっとぶぐらいチャーミングだった。それでしばらく仲野太賀をおっかけたりしたが『あの頃。』以上の太賀にはまだ会えない。それは太賀が悪いんではなくて「サエなくてみっともなくて情けない兄ちゃんの魅力」を「絶妙なキャスティングで見せてくれる作品」がないんだ。ぜんぜん。

 と思ってたら敢然と登場したのである、「ドキドキするほどチャーミングなサエない兄ちゃん」が活躍する『赤灯えれじい』が。

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 高卒で無職で実家でゴロゴロして母親にはジャマにされヤンキーには金を取られヘコヘコしてるしかないサトシ。もちろんモテない童貞。交通誘導のバイトにやっとありつき(あの誘導員が振ってる棒が赤く光る――「赤灯」なのだ)、そこでも同僚や通行人やトラック運転手にさんざいじめられてるところで、助けてくれた同僚のチーコ。

番組HPより

 チーコがまた、絵に描いたようなヤンキー女子で、口も悪いし手も早い。根本が黒くなっただらしない金髪で、うんこ座りしながらタバコをぷはーっと吸ってる。最初おびえてたサトシくんが、このチーコを好きになっちゃうんだな。

 この2人がホントに素敵なの。サトシくんの素晴らしいほどのサエなさ。そしてそのサエないところがたまらなく可愛いんだ。

 そしてチーコ。このチーコがすごく不思議で、美人にも可愛くも見えない、マジもんのヤンキーそのもの。しかしその美人でも可愛くも「ない」ところがすごく魅力的なのだ。

 どう考えたってサトシくんの恋は片思いにしかならなそうなのに、第2話にして2人は両思いになる。

 そんなアホな!という展開ですが、この2人を見てるだけで勝手に納得しちゃうのだ。私ももうサトシくんに恋をしている。チーコのことも恋してる。男の気持ちになって「オレがこいつを幸せにしたい!」とか思っちゃってる。

 他の出演者もみんなよくて、チーコの母役の鈴木紗理奈も「こんなにカッコよかったか!?」と座り直して見ちゃったよ。しかしサトシもチーコも知らん役者だなと思って調べてみたらサトシくん、『ブギウギ』でスズ子の弟やってた子か! チーコは『テミスの不確かな法廷』の乃亜かよ!

 2人ともそっちではぜんぜんひっかかってこなかったのに、このサエない兄ちゃんとヤンキー姉ちゃんの素敵さといったらどうだ。

『赤灯えれじい』
テレビ東京 木 24:00~ 黒崎煌代、鳴海 唯
https://www.tv-tokyo.co.jp/sekitoelegy/

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