2024年5月31日、日比谷公園で開催された反ワクチンを掲げる「国民運動」の大決起集会。約1万人もの人々が詰めかけたこの熱狂の場に、当時立憲民主党の現職国会議員だった原口一博氏が登壇した。
「この生物兵器まがいのもので亡くなられた方に哀悼の誠を捧げたい」
「分かっていながら(ワクチンを)止めない政府を、倒そうじゃありませんか!」
大歓声と指笛が鳴り響く中、会場の熱気は最高潮に達していた。その後もワクチンを「生物兵器」「人体実験」などと主張し続けた原口氏は、販売元の製薬会社「Meiji Seika ファルマ」から名誉毀損で提訴され、2026年10月29日には東京地裁から220万円の賠償を命じる判決が下された。
現在放送中のドラマ『ポリティカルパン』(フジテレビ系)でもネット表現等の監修を担当しているトンデモウォッチャーの黒猫ドラネコさんは、過激化する反ワクチン・陰謀論集団の現場に長年潜入し、定点観測を続けてきた。
『参政党と大陰謀論時代』(文春新書)は、参政党の台頭を主軸に描きつつ、同時並行で勢力を伸ばした多様な反ワクチン・陰謀論集団の狂騒についても詳述している。同書より一部抜粋して、日本の反ワクチン勢力が大同団結した「5・31日比谷一揆」の異様な光景を振り返る。
(文中一部敬称略)
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日比谷公園に1万人集結
さて、今回の大規模集会は夜までの3部制で、講演の最中に銀座に向けてデモ隊が続々と行進をしていく予定とのことだった。
日比谷公園は中高年、特に高齢者で溢れていた。金曜日の昼なので年齢層がこうなるのは仕方ないが、それにしても盛況。曇り空の下に「パンデミック条約反対」「WHO脱退」などを掲げて反ワクチン・陰謀論者さんたちが大集結していた。当日は台風の予報だったが、それてしまったようだ。この場所にだけピンポイントで直撃すればよかったのに。
池袋でもそうだったが、この日比谷公園でも、やはり保守系の方々が目についた。旭日旗も多数あり、国旗をマントにしたおじさんがいたり、全身トランプ応援コーデのおじさんがいたり……。コロナ禍をきっかけに「ネットDE真実」に目覚めたらしい中高年たちが、右寄りなインフルエンサーたちによって過激な思想を焚きつけられるイベントと化していた。
「目覚めた」参加者たちはデモ行進前の集会が行われる野外音楽堂への入場を待って長蛇の列を作っていた。ピーク時でおよそ1万人は集まっていたようだが、音楽堂のキャパは3000人ほどだったから、多くの人は集会に参加できずに涙を飲んだようだった。
そんな参加者の列に張り付くようにして、池袋にも取材に来ていた中国の気功集団で新興宗教「法輪功」のメディア、大紀元時報が「頑張れ反ワクチン」といった特集の冊子を配りまくっていた。それだけならいいが(よくはない)、打倒中共思想を謳う「新中国連邦」なる、片言の日本語を駆使するおそらく中国の方々の集団が、「ウイルスは中国共産党の生物兵器」といったビラを配りまくっていた。それに加えて集会に登壇する名誉教授らの著書宣伝のチラシなども渡されまくるもんだから、並んでいるだけで紙の束を抱えるハメになった。
