京橋本社付近まで

 池田は誰よりも声が大きく、いつもの調子でハイテンションだった。講演を終えるとそのまま、公園出口から応援団長の役割でデモ行進の出発を扇動。出発口付近の沿道からは、池田率いる「有志議員(ワクチンに反対する地方議員団)」らがデモ隊へとエールを送り続けた。

 銀座を通って、京橋のMeiji Seikaファルマ本社付近までを歩くデモ行進だった。原口は「ワクチンやめますか、それとも人間やめますか」と書かれた不穏なプラカードとともに練り歩いていた。えらいこっちゃと思っているのは私だけで、集会の参加者で溢れた沿道から「原口せんせー!」「先生のおかげだよー!」「ありがとうー!」などの大声援が飛んでいた。

 300メートルほど歩いたところでひっそりと行進の梯団から離脱していたのを私は見逃さなかったが、やっぱり原口先生はこの界隈ではヒーローなのだ。

ADVERTISEMENT

デモ行進をする原口一博氏(著者撮影)

 デモ隊が次々出発する中、野外音楽堂では第2部講演が控えめながら続いていた。みんなデモ行進に気が向いていて6割ほどの客入り。参政党アドバイザーで情報戦略アナリストだという山岡鉄秀が、「墜落したJAL123便の犠牲者は(証拠隠滅のために)焼かれたなんて、そんな残虐性が日本人にあるなんて信じたくないですよね……。でも」といった珍説をグダグダと展開。行進に出発できない人たちを退屈のどん底に叩き落としていた。座席でのスマホのポチポチ率の高さたるや。

 なお、山岡も「安倍元総理暗殺の真犯人は別にいる」と、銃撃事件後から熱心に訴え続けており、25年に開催された「真相を求める会」の集会にも参加していた。この界隈はこういう人ばかりである。

 予定時間を過ぎてしまったとのことで、これ以後のデモ行進出発の打ち切りが宣言された。音楽堂に残っていた参加者は、途中から行進への参加を諦めた人ばかりだったのか、特にガッカリした様子もなかった。しかし、夜に行なわれる第3部のステージ準備があるのでしばらく外に出て並びなおせとのアナウンスがあると、「3部のために座っていたのに……」と不満の声が上がっていた。そらそうよな。

※編集部註 本記事は『参政党と大陰謀論時代』(黒猫ドラネコ著/文春新書)の一部を抜粋・再構成したものです。

参政党と大陰謀論時代 (文春新書)

黒猫ドラネコ

文藝春秋

2026年4月17日 発売

最初から記事を読む 「生物兵器」発言で賠償命令… 原口一博議員の絶叫に1万人が大歓声、日比谷公園を占拠した「反ワクチン集会」の異様な熱狂