2015年10月24日、米アーカンソー州リトルロック市で、高校3年生のエビー・ステパッチ(当時18歳)が行方不明となった。集団被害を警察へ届けると家族に告げた直後の失踪だった。
「車の中にいるんだけど、場所がわからない」
エビーは独立を目指して実家を離れ、祖父母や友人宅を転々としていた。23日夜にハウスパーティに出席し、翌24日に母親と継父のもとを訪れる。そこで、前夜に4人の男から集団レイプされたこと、犯行が携帯電話で録画された可能性があること、警察に被害届を出すつもりであることを告げた。これが家族の見た最後の姿となった。
同日夕方以降、携帯電話は繋がらなくなる。通話記録によると、エビーは24日中にリトルロック警察署へ約1分ずつの電話を2回かけていた。ただし、警察署側に通報の記録は残っていない。同時に、名指しした4人の男らへ「警察に届ける」とするメールも送っていた。
25日14時ごろ、エビーは兄トレバーに「今(兄の家の)外に車を停めている」と電話をかける。しかしトレバーが確認しても車は見当たらない。折り返すと、妹は「車の中にいるんだけど、場所がわからない。ヤバい状態なの…」と言って電話を切った。
家族は捜索願を出したが、警察は単なる家出と受け流した。2日後の27日、チャラモント公園の駐車場で、警備員がエビーの車を発見する。車内には携帯電話、財布、服、コンタクトレンズなどが残され、鍵はイグニッションに挿さったままだった。バッテリーは切れ、ガソリンは空だった。
警備員はすぐに通報したが、捜査員が現場に到着したのは翌日朝だった。周辺を捜索してもエビーの痕跡は見つからなかった。警備員は、エビーらしき女性が「2人の男と一緒にいて、男たちが去った後、1人で車に戻った」と証言したが、ろくに捜査は行われなかったという。
家族は警察に不信感を抱き、メディアや私立探偵を巻き込んで独自に捜索した。懸賞金は3千ドルから5万ドルに増額している。
2016年から2017年にかけての大規模捜索では、エビーの友人が公園内で腐敗臭を嗅ぎ、警察に連絡した。しかし警察は「動物の死骸だろう」とまともに取り合わなかった。
失踪から約3年後の2018年5月24日、コールドケース専従班の捜査員が公園内の排水管をロボットカメラで調べ、車の発見地点からわずか18メートルの管内で白骨遺体を発見する。遺体はエビー本人と判明した。死亡時期は2015年10月27日ごろと推定されている。
(つづく)
