仕事の傍ら、コスプレイヤーとして活動する千歳ちゆさん(27)。現在は明るい笑顔を見せる彼女だが、幼少期に負った大ケガの後遺症により、長年にわたり顔の歪みと深甚な容姿コンプレックスに悩まされてきた。15歳から22歳にかけて受けた手術は計3回。治療の過酷さと幼少期の苦難を、ライターの徳重龍徳氏によるインタビューで振り返ってもらった。

千歳ちゆさん ©深野未季/文藝春秋

「顔が変」「歪んでる」と言われ…成長とともに崩れた顔のバランス

 千歳さんが顔に致命的なケガを負ったのは、わずか5歳の時だった。母親に投げつけられた大きなおもちゃが右頬を直撃し、血が出るほどの深い傷を負った。傷自体は表面上きれいに治ったものの、奥の骨には深刻な影響が及んでいたのだという。

 成長するにつれて顎の骨の左右バランスが崩れ始め、9歳から10歳頃には目視でもはっきりと分かるほど顔が歪んでいった。学校では同級生から「顔が変」「歪んでいる」と心ない言葉を浴びせられ、髪で顔の片側を隠して過ごす日々が続いた。

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「かわいいアイドルさんたちを見て、自分もあんなふうになりたいと思うんですけど『こんな顔だから、あまり前に出ない方がいいのかな』とも考えていました。笑顔もうまく作れないと思っていました」

©深野未季/文藝春秋

 その後、12歳頃に受診した大学病院の精密検査で、医師から「5〜6歳頃に受けた衝撃が原因の可能性が高い」と告げられる。しかし当時の千歳さんは、原因を作った母親にその事実が知られれば「殺されるかもしれない」と感じたという。医師には母親に秘密にするよう密かに懇願した。それほどまでに母が恐ろしかったのだ。

麻酔が効きにくい体質で挑んだ3度の手術と、術後に襲った「絶望」

 成長期を待ち、15歳から本格的な治療が始まった。歯列矯正や抜歯を経て、顎や頬の骨を切断してバランスを整える大手術が実施された。ネジやプレートの除去も含め、22歳までに重ねた手術は3回に及んだ。麻酔が効きにくい体質のため、抜歯中に目が覚めてしまう恐怖にも見舞われたという。さらに骨を切る大きな手術の直後、目覚めた千歳さんを待っていたのは、想像を絶する激痛だった。

「麻酔から目が覚めると管だらけで、まだ痛みもあって。すごく苦しくて『こんな苦しい思いをして管だらけになるんだったら、なんで5歳のときに死ななかったんだろう』と思いました。あの時の苦しさだけは今でも覚えています。『何でこんなことをしなきゃいけないんだろう』という気持ちでした」

©深野未季/文藝春秋

 3回目の手術を終えた後、口元には麻痺の後遺症が残った。現在もお椀から汁物を飲む際にこぼしてしまうことがあるという。

 壮絶な手術と激痛を乗り越えてもなお、残された後遺症と消えないコンプレックス。そして、この顔の歪みの「本当の原因」を、なぜ彼女は恐怖の対象であった母親に隠し続けなければならなかったのか――。

 過酷な過去の全貌と、そこから彼女はどのようにして自分自身の笑顔を取り戻していったのか。 この続きはインタビュー本編でお読みいただけます。

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