法廷には、女性の嗚咽が響いていた。大阪地検の元検事正・北川健太郎被告が、かつての部下に対する準強制性交等罪に問われた裁判。10月27日に大阪地裁で開かれた第2回公判で、被告は起訴内容を否認した。

検事は「あくまで推論ですが」と前置きした上で…

「北川被告は2024年10月の初公判で『争うことはしません。深刻な被害を与えたことを深く反省し、謝罪したい』と罪を認めた。だが、否認に転じる意向を示したため、争点を整理する期日間整理手続きが行われ、2年ぶりの再開となりました」(司法クラブ記者)

 被告側は、行為は認めたが、「同意があった」「女性は抗拒不能ではなかった」と主張。事件直前の懇親会や被告の官舎までのタクシー代の会計を女性がしており、飲酒による酩酊状態ではなかったというのだ。

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元部下の女性は「嘘八百だ」と怒りを顕わにした ©時事通信社

 検察側は当初、女性は酩酊し、意識を取り戻した後も予想外の事態に硬直して、抵抗できなかったとしていた。ただその後、被告の無罪主張を受けて訴因変更し、「検事正としての影響力に乗じた」と付け加えた。ある検事は「あくまで推論ですが」と前置きした上でこう語る。

「酔って抗拒不能だったというだけではもしかしたら覆るかもしれないと考えた。そこで立場の悪用というセーフティーネットを張ったようにも見える。現場からは『自信がないのか……』という声も出ていました」

 ところが今回、新証拠はまったく示されなかった。

「被告とはいえ元エリート検事。罪を認めてから否認に転じるのは異例である以上、無罪を裏付ける証拠が出てくるのではという声もあった。しかし被告側が主張する『同意』を、直接裏付けるメッセージも出てきませんでした」(前出・記者)